赤く大きな羽を広げて宇宙を飛び回っている様に見えるこの天体は、散光星雲「IC 2177」です。いっかくじゅう座とおおいぬ座の境界付近で、天の川の中心付近に位置しています。日本では「わし星雲」、英語では「カモメ星雲」として知られています。


「わし星雲」を構成しているのは主に3つの巨大なガス雲。中でも最も特徴的と言えるのはわしの”翼”部分に相当する「Sharpless 2-296」です。翼の端から端までは約100光年におよぶHII領域であり、新しい星々が次々と誕生しています。電離した水素が恒星の強力な紫外線によって照らされており、Hα線によって赤、またはピンク色に示されています。


また”頭”に相当する小さい領域である「Sharpless 2-292」は、放出星雲と反射星雲の両方の特徴を持っており、中心から少し離れた所に太陽の約20倍もの質量を持つ巨大で明るい恒星「HD 53367」という「わし星雲」の”目”を表しています。


この画像は、2019年8月17日に公開されたもので、撮影にはチリのパラナル天文台にある、VLT測量望遠鏡(VST)のOmegaCAMが使用されました。Hα線を含む4種の可視光波長を組み合わせた合成画像は、生命力あふれる不死鳥が宙を舞う姿の様にも見えてきますね。


 


Image Credit:ESO
https://www.eso.org/public/news/eso1913/