水泳用ARゴーグル「FORM Swim Goggles」199ドルで発売。スイム中にタイムや距離を表示
スポーツテクノロジー企業のFORMが、AR機能搭載の水泳用ゴーグル「Form Swim Goggles」を発売しました。外観は普通の水泳用ゴーグルに見えるものの、その片側にはARディスプレイを内蔵しており、スイム中のタイムや距離、スプリットと言った情報をリアルタイムで表示することが可能です。ゴーグルには導光板ディスプレイ、ジャイロスコープ、バッテリーが内蔵され、一度の充電でおよそ16時間動作します。さきほど「片側にARディスプレイ」と記したものの、ゴーグル自体は上下逆でも使える計上で設計されているため、左右どちらの目でも情報の取得は可能です。

一方で、操作設定をいじるためのボタンは2つしかなく、カルーセルメニューを使って切り替えなければならないのは少々面倒かもしれません。とはいえ、実際に泳ぐ際にしなければならない設定は、そのプールが何m(またはヤード)折り返しなのかと言うことだけ。プリセットとしては25/50m(またはヤード)があり、それ以外の場合はカスタムで距離設定ができます。またラップスイミングやドリルトレーニングなどの設定もできるとのこと。FORMはクロールやその他の泳法を自動で検出するアルゴリズムを開発し、このゴーグルに搭載したため、それらを設定する必要はありません。

ただ、注意点がひとつ。それはレンズ内部を完全に水に浸してしまわないこと。本家Engadgetのレポートによれば、多少の濡れは問題なさそうなものの、1時間に2回ぐらいは内部に侵入した水気を拭き取っていたとのことです。

FORM創業者のDan Eisenhardt氏は、もともと水泳選手だったと述べ、泳いでいる最中に立ち止まらずにスプリットタイムが見られるようにしたいと思い立ったのが、このスポーツ向けウェアラブルを開発するきっかけになったと語り、13年の月日の集大成がこの「Form Swim Goggles」だとしました。

ただ、Eisenhardt氏はこのゴーグルのために一直線に突き進んできたわけではありません。ブリティッシュ・コロンビア大学時代に同級生とともにゴーグルのアイデアを模索していた頃、Eisenhardt氏は同様のアイデアに基づくと思われる特許を目にし、仕方なく他の製品化アイデアとしてスキー用のHUD(Head Up Display)の開発を始めました。それが後のRecon Instrumentsへと発展し、Google Glassよりもかなり前にOakleyなどへスキーサングラス向けのHUDを供給するようになりました。さらに2015年には自転車/ランナー向けのRecon Jetを発表、当時ウェアラブルに興味を持っていたインテルがReconに目を付け、買収に至っています。

自転車/ランナー向けを謳っていたRecon Jetではあるものの、実際には人々はこのメガネディスプレイをまるで某マンガのスカウターのように活用したいと考えました。またカメラなど実際にはほとんど必要なかった機能もあったせいか、デバイスの価格は700ドルを超え、広く一般に使われるようにはなりませんでした。



Form Swim GogglesはRecon Jetとは違い、目的を絞り込んで便利に使えるようにした製品と言えるでしょう。それはただ水泳の酒類を認識し、タイムや距離、ストローク数を表示するだけのものです。しかし、スイマー向けのゴーグルに追加する機能としては、それで充分なはずです。その代わりゴーグルとしては上質さにこだわり、最高のフィット感と耐久性を持たせているとのこと。

モバイルアプリ「Form Swim」と連携して、いくつかのランナーアプリと同様にスイム中の様々なデータを解析したり、水泳時間、距離、消費カロリーなどを見るほか、友達と情報交換をしたりもできるとのこと。

Form Swim GogglesはFORMのウェブサイトですでに販売中。価格は199ドル(約2万1000円)。45日間のフィッティング保証付き。ただし、記事執筆時点では米国およびカナダの北米2か国のみでの販売となっています。できれば早い時期に販売国の拡大も実現して欲しいところです。