盲導犬のトイレ事情、考えたことあった? JR東日本が「専用トイレ」を初設置した理由
盲導犬、介助犬、聴導犬と身体が不自由な人のお手伝いをする補助犬。人間のパートナーとして大活躍している彼らのためのトイレがJRさいたま新都心駅に設置され、話題になっている。
ほじょ犬トイレ(2019年7月17日、Jタウンネット撮影)
街ではほとんど見かけない「ほじょ犬トイレ」。4月1日に使用がスタートしたもので、JR東日本では簡易的なものを除いて初めて設置された。
ツイッター上では「なんて優しい世界」、「素晴らしすぎる」など反響を呼んでいる。
もっと広まって欲しい
そもそも、補助犬はペットの犬と同じように好きなタイミングで排泄はしない。補助犬ユーザーがタイミングを把握し、指示を出してから排泄するのが一般的。それだけ、訓練が徹底しているということだ。
気持ち良く排泄できる管理をユーザーがするだけでも大変なのだが、さらにその処理もしなければならない。土や植え込み、草のある場所といった排泄に適した場所が必ずしも行動範囲にあるとも限らない。
そうした場合、多目的トイレにペットシーツを敷いて使うパターンもあるようだ。
そんな補助犬のために作られたトイレ。Jタウンネットは詳しい話を聞くため、7月17日にJR東日本大宮支社の広報室担当者に話を聞いた。
さいたま新都心駅に設置した経緯を聞くと、
「付近にさいたまスーパーアリーナやコクーン(編注:ショッピングモール)があり、多くの人が集まり、お身体が不自由な方もいらっしゃいます。駅を便利で快適に使っていただくために、様々なニーズに対応するために検討しました」
と担当者。多目的トイレこそ色々な場所でみかける。しかし、ほじょ犬トイレは意識したこともなかった。多くの人が利用する鉄道会社だからこそ気づいたニーズといえるかもしれない。
岩手・一ノ関駅に簡易的な盲導犬用のトイレがあるものの、JR東日本で補助犬のためのトイレを設置するのは、
「簡易的なものを除いて初めてではないか」
という。こんな先進的な取り組みが埼玉で行われていると考えれば、県民として誇りに思える。
今後、ほじょ犬トイレがほかの駅で設置される予定があるかについては、
「今のところはない」
との回答だった。
さいたま新都心駅
現場へ行ってみた
取材後、筆者はさいたま新都心駅に向かった。4月1日以降、何度か訪れていたのに全く気付かなかったが、どこにあるのだろうか。
改札内に入り、いつもは使わない京浜東北線のホームに向かうエスカレーターに近づいた。
多目的トイレやほじょ犬トイレがあるスペース
車いすマークの下に見慣れないマークがあるのに気づいた。
ほじょ犬マーク
ほじょ犬マークが駅の中にあるとは――。案内図を見ると、多目的トイレに隣接するように目的である、ほじょ犬トイレがあった。
案内図。オレンジ色のスペースがほじょ犬トイレだ。
ほじょ犬トイレの入り口
入り口はガラス張りになっており、外から見える仕様になっている。
ほじょ犬トイレの内部
中には補助犬のトイレ台や汚物流しがある。トイレ台のシャワーには清掃用とのシールが貼ってある。トイレシーツで排泄をするが、万が一汚れてしまった際はシャワーで洗い流せる。
ほかにもダストボックスやインターホンもある。
トイレ台
ダストボックス、お手洗いと汚物流し
非常に多くの設備が集約されており、これなら利用者も便利なはず。
調べるとさいたま新都心駅以外に、羽田空港や成田空港、東京芸術劇場や京王プラザホテルにもあるようだ。
しかし、いずれにしても数が少ないのも事実。さいたま新都心駅のほじょ犬トイレが話題になったのを機に、全国で数が増えてほしいと願うばかりだ。