空から60羽もの鳥が降ってきた小学校(画像は『7NEWS Adelaide 2019年7月11日付Facebook「Dying corellas found by students at One Tree Hill Primary School」』のスクリーンショット)

写真拡大

オウム目オウム科の“テンジクバタン”は真っ白な体を持ち額と胸が赤色の美しい鳥で、オーストラリアでは保護種に指定されている。今月10日、オーストラリア南部の小学校で60羽のテンジクバタンなどが空や木の上から降ってきたことが明らかになった。専門家らは中毒死の可能性が高いとして調査を進めているが、地元住民は「毒殺だとしたら残酷すぎる」「何かの病気だったらもっと怖い」「まるでホラー映画のよう」とショックを露わにしている。地元メディア『7NEWS Adelaide』などが伝えた。

【この記事の他の写真を見る】

大きさ40センチほどの鳥が目や口から血を流し空から次々と降ってくる―そんな悪夢のような光景が、休暇中の課外授業に参加していた児童たちの目の前で繰り広げられた。オーストラリア原産の“テンジクバタン”が空から降ってきたのはアデレード北部にあるワン・ツリー・ヒル小学校で、連絡を受けて駆けつけた動物保護団体「キャスパーズ・バード・レスキュー(Casper's Bird Rescue)」のメンバーにより獣医のもとに運ばれた。しかし12日の時点で、60羽のうち58羽が絶命したという。

キャスパーズ・バード・レスキューの創設者サラ・キングさんは、「落下したテンジクバタンは飛ぶことができず、目や口から血を流していました。激しく鳴いており、すでに数羽は死んでいました。まるでホラー映画を見ているようでした。子供たちもかなりのショックを受けているようです」と現場の様子を明かした。サラさんによると、発見された60羽のうち57羽は保護種に指定されているテンジクバタンで、3羽だけが“アカビタイムジオウム(Little Corella)”だったという。南オーストラリア州では農作物、在来種の鳥やハチ、建物などに多大な被害をもたらすアカビタイムジオウムを害鳥に指定しており、地元議会では害鳥駆除に力を入れることを発表したばかりだった。

サラさんは「発見されたほとんどの鳥は、保護種に指定されているテンジクバタンであり、害鳥ではありません。また今回使われた毒は、数週間かけてゆっくりと身体を蝕んでいく質の悪いものです。毒が体内に入ったことで内出血を起こしたとみられ、長い間苦しんだ末に口から血を吐いて死んでいったのでしょう。中毒死だと確信しています」と述べ、怒りを露わにしている。さらに地元議会のメンバーは「最近この周辺で除草剤を撒きましたが、野生動物には安全なはずです」と語っており、はっきりした死因は謎のままである。『Fox News』によると、現在この件に関しては州政府が中心となって調査を進めているとのことだが、死因の特定には数週間かかるということだ。

なお鳥の中毒死のニュースで記憶に新しいのは、今年4月に伝えられた米イエローストーン公園の希少ワシの鉛中毒だろう。同公園周辺の狩猟地でハンターたちが使用する鉛弾の破片をついばむことで神経系が冒された鳥は、脳や筋肉だけでなく身体の全ての運動能力に影響が現れ、呼吸困難に陥り、くちばしを開けることもできず死に至るという。

画像は『7NEWS Adelaide 2019年7月11日付Facebook「Dying corellas found by students at One Tree Hill Primary School」』『ABC News 2019年7月11日付「Dozens of corellas believed poisoned after ‘falling out of the sky’ near Adelaide primary school」(Facebook: Caspers Bird Rescue)』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 A.C.)