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(台北 26日 中央社)ベトナムからの団体客4組計153人のうち152人が台湾に入境した直後に逃走し、行方不明になっていることが25日、明らかになった。外交部(外務省)や交通部(交通省)観光局が発表した。失踪者はベトナムなど6カ国の団体客を対象に査証(ビザ)申請手続きを簡素化する制度を利用して電子ビザを取得し、訪台していた。同制度を悪用した集団密航としては2015年11月の導入以来最大規模。内政部移民署は逃亡者の捜索を進めている。

台湾は観光客誘致を目的に、ベトナム、インドネシア、ミャンマー、カンボジア、ラオス、インドからの団体客を対象に、ビザの手続きを簡素化する制度を導入している。個人で観光ビザを申請する際に必要な財力証明なども不要で、最長14日まで滞在できる。観光局が申請者の審査を担当し、審査を通過すれば外交部から電子ビザが発給される。

団体客は今月21、23日に分かれて南部・高雄から入境。25日になって、団体客を案内する予定だった台湾の旅行会社から、失踪者の人数が152人に上るとの通報が観光局に寄せられた。深刻な事態に同局はツアーを実施したベトナムの旅行会社からのビザ申請受理を停止。外交部も即刻、失踪者のビザを取り消し、同一の旅行会社からの申請でビザ審査を通過していた入境前の182人へのビザ発給を取り止めた。

観光局によれば、これまでにも同制度で入境した外国人が逃亡するケースがあったが、いずれも少人数で、3年で約150人にとどまっていたという。同局は審査を強化し、制度自体も見直すとしている。予定では制度の実施は来年末まで。

ベトナムからの訪台客は3年で大幅に増加。観光局の統計によると、2015年には年間14万6380人だったのが、今年は1月から11月までで45万5347人に達した。

(侯姿瑩、陳葦庭、汪淑芬/編集:名切千絵)