日本代表の森保一監督

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[11.20 キリンチャレンジ杯 日本4-0キルギス 豊田ス]

 日本代表は20日、キリンチャレンジカップでキルギス代表と対戦し、4-0で勝利した。

以下、試合後の森保一監督会見要旨

●森保一監督

「まずは今日のキルギス戦で豊田スタジアムに足を運んでいただき、応援してくださったサポーターの皆さん、そしてメディアの皆さんを通して応援してくださったサポーターの皆さんにお礼を申し上げたい。そして、我々日本代表の活動を支えてくださっているキリングループの皆さん。40年、我々を支えてくださり、日本代表強化の環境づくりをしてくださったおかげで我々は成長し続けてこれている。これまでのご支援への感謝と、これからもよろしくお願いしますという気持ちを伝えたい。試合はFIFAランクだけで言うと、キルギスのほうが格下ということで見られる対戦だと思うが、選手たちには対戦相手がどこであれ、我々が試合の中で高い基準を持って最後まで戦い抜くことをやっていこうと伝えた。選手は私が言わずとも、試合前から自分たちで自分たちがレベルアップするための試合にする、成長するための試合にするということで声をかけ合って試合に入り、試合中、点差が開いてきてもチャレンジする姿勢を忘れることなく、自分たちで声をかけ合いながら意思統一しながらやってくれたことは良かったと思う。アジアカップ前最後の試合となったが、準備としてどれだけものになったかは分からないが、我々がより高いレベルを目指して戦っていくことを選手たちが示してくれたことは、アジアカップに向けていい準備ができたと思う。アジアカップでも大会期間中に成長しながら結果を出すことをやっていければと思う」

─先発を総入れ替えして新たなユニットを試したが、課題はどのあたりにあったか。

「トレーニングからやってきたことを選手はトライしてくれたと思う。もっと縦パスを入れることができるタイミングがあったり、縦パスが入ったあとに個で局面を崩すだけでなく、連係連動の形をもっと多く出せればよかったかなというところは課題としてあると思うが、現段階において今日の試合の流れの中で選手たちがやろうとしてくれたことは評価したいと思う」

―選手を見るいい機会になったと思うが、アジアカップに向けてどれぐらいの手応えを得られたか。

「親善試合ではあったが、我々にとってどれだけいいトレーニングになるかということをチームとして考えて、選手たちがトライしてくれたことは成長につながったと思うし、これからの自信につながった部分もあると思う。ただ、アジアカップに向けて、4-0という結果だけを見ると、アジアカップでの成績を保証してくれるものではないということはしっかり考えなければならないと思う。今日の試合もベネズエラ戦から先発を全員代えて戦ったが、まず日本代表をより強くするためにはより選手層を厚くして、そこから選ばれた選手がアジアカップに臨む、他の大会にも臨むということができればと思っていた。アジアカップに向けてたくさんの選手が経験してくれたことが、これからチームに戻ってさらなる成長に選手たちがつなげてくれると思っている。答えになっていないと思うが、アジアカップに向けて今できる最善のことはしてくれたかなと思う。アジアカップに向けては、スタートからチャレンジする気持ちを持ってやっていかなければならないと思っている」

─後半、攻撃の4人を代えた意図は。今日の先発組と途中から出た選手に力の差が表れたと思うが。

「力の差がどれだけあるかというのは置いておいて、途中出場の選手がさらに流れを良くする、試合を決める、試合を締めるという部分、あるいは試合を落ち着かせるとか、試合をさらに勢いづけるとか、そういう部分で途中出場の選手がチームを活性化してくれたことは、チームの戦い方としてベネズエラ戦から修正できたことだったと思う。これからの試合に向けても、途中出場の選手がしっかりと役割を果たすことをチームでやっていければと思う。選手起用の中で、全員が同じレベルの選手でないことはもちろんグループの中であり得ることだし、まだまだ経験が足りない選手、力の部分でまだまだ足りない選手に関しても、まだまだ伸びしろがある可能性がある選手ということで、これまでの結果とこれからの可能性という部分で招集している選手もいる。経験の浅い選手、今はまだ実力的には足りない部分がある選手も、こういう日本代表の試合経験を通してさらに伸びてくれると思うし、試合をして気づいてくれた部分も自チームに持ち帰ってもらって、レベルアップにつなげてもらうことが、のちのち日本代表のさらなる戦力、レベルアップにつながると思う。そこは力の差があるにしても、現段階では当たり前というか、普通のことかなと思う。経験の浅い選手たちと経験があるベテランの選手、実力差がある選手たちが同じピッチに立つことで、相乗効果が生まれ、両方の選手たちが成長し、融合すると思う。そういういう今チャレンジしていることは、これからもチャンスがあれば続けていきたいと思う」

─監督に就任して信じられないアクシデントもあったが、この半年間の強化の手応え、あるいはやり残したことは。

「本当に想定外のアクシデントがあった。まずは9月のキリンチャレンジカップのときに北海道で大地震があり、我々も被災した中で、我々を支えてくれる方がいて日本代表として活動できているということを経験できたことは非常に大きいと思う。北海道の皆さんも被災している中で、試合はできなかったが、ホテルで手厚くサポートしていただいて、支えてもらっている中で活動ができているということを強く感じさせてもらう経験ができたと思う。大阪では試合はできたが、台風21号で多くの方が被災した中で、日常生活が普段どおり戻っていない方がいる中で試合をさせてもらった。プレーする以外の部分で我々がしっかりとした活動をすることで、いろいろな方々に感謝のメッセージを送り続けなければならないという活動の意義というものを考えさせてくれることになったのは良かったと思う。想定外のことが起こる中で、直近の大分でも準備する時間が少ない中で試合をすることになったが、そこで選手たちが動揺することなく、与えられた環境と時間の中で落ち着いて、何ができるのか最善を尽くしてやってくれた。そういう与えられた環境の中で常にベストを尽くすことを選手、スタッフがやってくれたことはこれからも続けていきたいと思う。

 今日の試合でも、これまでの試合よりも我々がボールを握って試合を展開することができたが、試合の展開で油断したり、相手に隙を与えたりしていれば、失点していたかもしれないし、追加点を奪えなかったかもしれない。4点取ったあともチャンスを作り続けることができたのは、チームとして目指すべきところが常に高いところにあるということで、どんな環境の中でも最後までやり抜くということ、最善の準備をする、ベストを尽くすということを今日の試合でもやってくれた。それはこれからも続けていきたいし、選手たちにもスタッフにもそのメッセージは送り続けていきたいと思う。想定外のことは起こらないほうがいいが、いろいろなことがあって、それを乗り越えてやり抜いていく力は必要だと思うので、これからも何が起こっても最善の準備を怠ることなく、最後まで戦い抜くということをやっていきたい」

─ウルグアイ戦、ベネズエラ戦で先発した前線の4人と、それ以外のメンバーではサッカーの質が違う。ベストのカルテットに追いつけるような選手はあとどれくらいいるか。

「まだまだいるというふうに思う。それは国内だけでなく、海外でプレーしている力のある選手もいるし、ベネスエラ戦の前線の選手に追いつける選手はいると思う。今言われて思ったのは、力の差がある部分はあるかと思うが、トレーニングでできるだけいろんな絵を持たせてあげる、選択肢を持たせてあげることができるか。選手にどれだけ働きかけできるかは自分自身の課題だと思うし、特にこれから伸びていく選手に関しては自分の責任が大きいと思っている」