アゼルバイジャンの世界遺産ゴブスタンで映画「スター・ウォーズ」のような世界の風景を堪能する
アジアとヨーロッパのはざまに位置する、コーカサスの国アゼルバイジャン。
日本ではまだまだ馴染みの薄い国ですが、新旧の風景が融合した首都バクーをはじめ、その知られざる魅力にじわじわと注目が集まっている国です。
アゼルバイジャン最大の見どころのひとつが、世界遺産ゴブスタン。首都バクーから南西60キロのところに位置する遺跡で、古代人が描いた無数の岩絵が残る摩訶不思議な景色が見られる場所です。
その歴史を5000〜20000年前にさかのぼるというゴブスタンの岩絵は、1930年代に石切り職人たちによって偶然発見されたもの。1966年には国立保護区に指定され、2007年には「コブスタンの岩絵の文化的景観」として世界遺産に登録されました。
コブスタン国立保護区に近づくと、荒涼と続く岩山にゴロゴロと大きな岩が転がる光景が目に飛び込んできます。
それはどこか、映画「スター・ウォーズ」の世界を思わせる異世界の風景。
看板はあるものの、コブスタン国立保護区はロープや案内板などによってほとんど手が加えられていない、オープンミュージアム状態。「ヘビに注意」の案内も石に描かれたアートで、周囲の景色にさりげなく溶け込んでいます。
切り立った崖と洞窟、大きな岩々などが入り組んだ、複雑な地形を利用して、古代の人々は自然にできた洞窟を住居にしたり、崖から野牛を追い落としたり、戦のための要塞を築いたりして暮らしていたといいます。
現在の乾いた気候からは想像できませんが、かつては動植物が豊富にあるサバンナのような土地であったと考えられています。
ここに暮らしていた古代人たちが生み出したのが、今も残る岩絵(ロックアート)。
石器時代の人々が描いた岩絵がこれまでに6000点以上発見されており、これらの岩絵は当時の生活ぶりを後世に伝えるために描かれたと考えられています。
保護区内を歩けば、上に下にと、あちこちに古代人のアートを見つけることができ、なかにはどうやって描いたのか頭をかしげたくなるような断崖に描かれたものもあります。
牛などのさまざまな動物や狩りの場面、踊る人々に舟をこぐ人々・・・多種多様な岩絵から伝わってくるのは、古代人の生き生きとした暮らしぶり。
現代の絵画と比べると単純で素朴な絵ですが、不思議な力強さや躍動感があり、アートの中に古代の人々の生命力が吹き込まれているかのようです。
興味深いのが、舟を描いた岩絵の多いこと。現在、ゴブスタンから海岸線までは直線でも3キロほど離れていますが、古代の海岸線はずっと近くまで迫っていたことがうかがえます。
古代の人々が残した岩絵から、当時の風俗が読み取れる・・・ゴブスタンの岩絵は、その意味を知りながら見ればこの上ない歴史ロマンなのです。
ゴブスタンは、ロマンあふれる岩絵はもちろんのこと、巨石と乾いた大地が織り成すダイナミックな風景の数々も魅力。日本とは異なる自然の姿に興奮すること間違いありません。
コブスタンへのアクセスは、公共交通機関は不便なため、タクシーやバクー発のツアーを利用するのが一般的。現地発ツアーに参加すれば、コブスタンだけでなくマッドボルケーノや拝火教寺院など、バクー近郊の主要な見どころをまとめて一日で周ることができますよ。
バクーを訪れたなら、一日は市街地から離れて、太古のロマンや荒々しい自然に触れてみてはいかがでしょうか。
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