標高1400mに位置するネパールの首都カトマンズ。

その中心地タメルから西に2キロ程行ったところに「スワヤンブナート」、通称モンキーマウンテンがある。
スワヤンブナートは、小高い丘にあるネパール最古の寺院だ。

「ナート」とは、ヒンドゥー語で「司る者」や「神」などを意味し、ネパールにある寺院の多くの名に、この「ナート」の文字がつけられている。

「スワヤンブ」は、この丘のことを指す。

入場料の200ルピー(約200円)を払い、入口の門をくぐるとすぐ、頂上へと続く石段が迎えてくれる。チベットの骨董品を売る土産物屋が並んだこの石段を登りきると、目の前に白いストゥーパが現れる。

ストゥーパとは仏塔のことであり、ヒンドゥー教の世界観の悟りの境地「ニルヴァーナ」を象徴した形となっている。

ストゥーパは古代インドから、中国、やがて日本へと伝わり、五重塔や三重塔の由来にもなった。

四面には世界を見守るブッダアイが大きく描かれ、多くの観光客が、この大迫力のストゥーパを見にここへ訪れる。

だが、ここスワヤンブナートの魅力は、単にこの迫力あるストゥーパだけではない。

スワヤンブナートの丘の頂上は、ストゥーパの周囲を囲むようにして骨董品屋が立ち並ぶ、広場のようになっている。この広場の神秘的な雰囲気も、ぜひ五感で味わってみてほしい。


赤煉瓦の土産物屋が並ぶ広場には、お香の香りが立ち込め、お経を唱える不思議な音楽のような声が辺り一面に充満している。

その心地よさの中、のんびり昼寝をする野良犬たちを見ていると、時を忘れていつまでもここにいられるような感覚になれるだろう。

ちなみに、ここで聞こえてくるお経は「オム・マニ・ペメ・フム」(ཨོཾ་མ་ཎི་པདྨེ་ཧཱུྃ)というチベット仏教の真言(マントラ)である。仏教寺院や、ヒマラヤ、チベットの方へ行くと、この真言を唱えている仏教徒に出くわすことが多々ある。真言の意味については他の言語に翻訳することが難しいとされているためここでは割愛するが、オム・マニ・ペメ・フムのそれぞれの文字1つ1つに意味が込められている。この音楽のような真言を聞きながら、チベット仏教のいにしえの信仰心に思いを馳せてみてほしい。

また、土産物屋の骨董品に目を向けてみれば、巡礼者向けの仏具から不思議なお面まで、日本では手に入らないような掘り出し物がみつかるかもしれない。

そしてもう一つ、忘れてはいけないのが、野生のサルを間近で見られることだ。

モンキーマウンテンの通称どおり、スワヤンブナートには、野生のサルたちが数えきれないほどうろうろしている。

野生と言っても、ここは観光客が行きかうスワヤンブナート。人間にも多少慣れており、日本ではなかなか見られない野生のサルを間近で見る事ができるのも、楽しみの一つだろう。

とはいえ、やはり野生ということは忘れてはいけない。むやみやたらに近づきすぎて、歯をむき出しにして威嚇をされたり、攻撃されてしまったりすることのないように注意しよう。

迫力のあるストゥーパはもちろんのこと、頂上の広場の雰囲気を五感で楽しめるスワヤンブナート。カトマンズ中心から車で2キロと、アクセスも良い。

ネパールに訪れた際にはぜひ、ヒマラヤ最古の寺院、スワヤンブナートで、ここに受け継がれてきた先人のいにしえの信仰心に、想いを馳せてみてはいかがだろうか。

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