ハンガリー建国の父の右手のミイラは必見、ブタペストの聖イシュトヴァーン大聖堂
その美しい町並みから、「ドナウの真珠」「ドナウの薔薇」と称えられてきた、ハンガリーの首都ブダペスト。
1987年にはドナウ河岸とブダ王宮地区が、さらに2002年にはアンドラーシ通りとその周辺の歴史地区がまるごと世界遺産に登録されました。
いたるところに歴史的建造物があふれ、町全体が博物館といっても過言ではないブダペストきっての教会が、聖イシュトヴァーン大聖堂。ブダペストでは、ハンガリーの国会議事堂と並んで高い建造物として知られています。
聖イシュトヴァーン大聖堂は、ハンガリー王国の初代王で、1083年に列聖されたイシュトヴァーン1世にちなんでその名が付けられました。
イシュトヴァーン1世とは、国の統一とキリスト教化を進めたハンガリー建国の父。アジア系の遊牧民族を祖先に持ちながら、キリスト教を受け入れ、ハンガリーをヨーロッパの一国として位置づけることで、ハンガリーの礎を築きました。
聖イシュトヴァーン大聖堂は新古典主義様式で建てられており、平面図ではギリシャ十字の形をしています。
外から見ると、まっすぐに伸びる2本の尖塔と、そのあいだに配置された大きなドームが印象的。ドーム部分の高さは96メートル、直径は22メートルという堂々たる造りです。
この大聖堂の建設が始まったのは、1851年のこと。「マジャール人」と呼ばれるハンガリー人の祖先がこの地にやってきてから1000周年を記念して、1896年に完成させる予定でしたが、嵐でドームが崩れ落ちるという事件が発生。最終的には50年以上の歳月を要し、1905年にようやく完成を見ました。
大聖堂内部に足を踏み入れると、黄金色の装飾や聖人の絵などで彩られた荘厳な空間が広がります。
主祭壇に安置されているのは、キリストではなく聖イシュトバーンの像。ハンガリーの人々にとって、聖イシュトバーンがいかに特別な存在であるかがうかがえます。
大聖堂内部で見逃してはならないのが、聖なる右手。
文字通り聖イシュトヴァーンの右手のミイラで、遺体から失われていた右手がトランシルヴァニアで発見され、各地を転々としてから、1771年に女帝マリア・テレジアによってブダに戻されました。
聖なる右手は聖遺物箱に保管されていて、誰でも見学することができます。
聖イシュトヴァーン大聖堂のお楽しみは、内部だけにとどまりません。エレベーターまたは364段の階段でドームにのぼると、360度のブダペスト市街のパノラマを堪能することができるのです。
「世界で最も美しい国会議事堂」ともいわれる国会議事堂や王宮など、ブダペストの主要なランドマークが眼下に。高いところから眺める「ドナウの真珠」はまた格別です。
その歴史は比較的新しいながら、脈々と受け継がれてきたハンガリー人の魂が感じられる聖イシュトバーン大聖堂。
ここにやってきたら、ブダペストの素晴らしい眺めを楽しみつつ、ハンガリーのユニークな歴史に触れてみてはいかがでしょうか。
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