映画『万引き家族』の扱いに困惑!? 太っ腹なのにビミョーな、日テレの対応策
今年5月に開催された第71回カンヌ国際映画祭のパルムドール(最高賞)を受賞した映画『万引き家族』(是枝裕和監督)。
今月8日、全国329館で公開され、週末3日間の興行収入が5億7814万円(8日〜10日)を記録。関係者もウハウハのロケットスタートを切った。
ところがこれを快く思っていない人々がいるという。関係者が耳打ちしてくる。
「この作品の幹事社はフジテレビなんです。当然、ライバル局は複雑です。テレビマンの心理は、分捕り合戦なんです。広告費の分捕り合戦、視聴率の分捕り合戦。全体で邦画を盛り上げようなんていう考え方はまったく持ち合わせていませんよ」
しかし今回、『万引き家族』と同日公開の『羊と鋼の森』の幹事社の日本テレビは、太っ腹の対応を取ったという。通常の規定を緩和するというお達しを現場に下ろしたという。
「他局が製作する映画ですから、企画的に取り上げるのはできないのですが、今回は世界的なニュースだけに、番組プロデューサーもどうしていいか迷っていたようです」
と楽屋裏を話すのは放送作家だ。
「局の方針としては、ニュースの大きさを考えて通常のレギュレーション(規制)を緩和するという形を表向きは取っていますが、その内容からはなんとも言えない複雑な心理が透けて見えますね。
というのも、監督や安藤サクラら出演者のインタビューに関しては、映画の公開週はオンエアしてはいけない、映画告知テロップは最小限に抑える、是枝監督の過去の作品については一切取り扱わない、といったものが含まれていたからです。何でもご自由に、とはいかないわけです。
『万引き家族』の宣伝の片棒は担げない、という日テレのプライドだと思いますが、なかなか微妙な緩和策だと思いましたね」
上場企業としては、自社の利益を優先するのは当然の判断だろう。
週末の興行収入ランキングで『万引き家族』は初登場1位、一方の『羊と鋼の森』は6位発進だった。
日本映画として21年ぶりのパルムドール獲得!という金看板は、やはり強力だ。
<取材・文/薮入うらら>