玄米×野菜、わかめ×ねぎ、ほうれん草×ベーコンはNG 食べ合わせの意外なリスクとは
巷にあふれ返った“健康常識”はウソ? ホント? 古くから諸説ある「食べ合わせ」について、実際に身体にいいもの、わるいものはどのコンビなのか、徹底検証します。
わかめ×ねぎ
味噌汁の具として昔から黄金コンビ。でも、栄養面を考えると、意外なことにNGな組み合わせだとか。
わかめに含まれるカルシウムの吸収を、ねぎが持つ硫化アリルという成分が妨げてしまうのだ。
わかめのカルシウムをしっかり吸収するには、タンパク質が豊富な豆腐がベスト。具の組み合わせを変えるだけで、栄養の吸収率はグンとアップする。
医学ジャーナリストの植田美津恵先生は、
「太陽の光を浴びて、紫外線によって合成されるビタミンDがなければ、カルシウムは体内に吸収されません。ただ食べるだけではダメなので、注意しましょう」
豆腐の味噌汁を食べたあとは、外に繰り出すことを日課にしよう!
ほうれん草×ベーコン
ほうれん草には鉄分や葉酸、ビタミンなどの栄養がたっぷり。塩気のあるベーコンとの相性もバツグンで、文句なしの「朝ごはんの定番メニュー」だけど、これも組み合わせとしてはNG!
ベーコンの添加物に含まれているリン酸塩は、ほうれん草の鉄分とカルシウムの吸収を妨げてしまう。さらに、ベーコンの発色剤・亜硝酸ナトリウムと、ほうれん草の硝酸は、体内で亜硝酸に変化して、「ニトロソアミン」という発がん性物質を作り出してしまう。
「とはいえ、日本では欧米に比べて大量に食べる習慣がないため、それほど気にする必要はありません。どうしても気になるようなら、ベーコンのかわりにニンジンとあえたりして、いろんな組み合わせを取り入れるといいんじゃないかと思います」(植田先生)
パイナップル×豚肉
酢豚でおなじみの食材同士には、聞けば納得の理由があった!
生のパイナップルは、ブロメラインという消化酵素が豊富。これが豚肉のタンパク質を分解して、肉を柔らかくジューシーに変えてくれるという。体内で消化しやすくなるので胃もたれ防止にも◎、なんともOKな組み合わせなのだ。
ただし、ブロメラインは熱に弱く、60℃以上で効果が消えてしまうとか。けっして煮込んだりしないで、仕上げにさっと加えて使うよう調理法に注意しよう。
コーン×牛乳
大地の恵みを感じさせるおやつとして味の相性はよさそうだけど、意外な罠が隠されているのでNG。
とうもろこしはイモよりも食物繊維が豊富。体内に入ると、膨らみながら腸に残った便を排出する働きがある。ところが、これが牛乳に含まれるカルシウムの吸収を邪魔してしまうのだ。
また、牛乳には腸の働きを活発にする乳糖も含んでいる。食物繊維との相乗効果で、お腹が弱い人は、お腹を壊してしまうおそれもある。
ただし、コーンポタージュにすれば問題なし。とろみがあって消化にいいので胃腸への負担がかからず、うれしい栄養を存分に取り入れられる。
玄米×野菜
もっちりと炊けた玄米には、とれたてのみずみずしい野菜が相性バツグン。なのに、こちらもNG。
玄米も野菜も、食物繊維が多いところがメリットだけど、とりすぎになってしまうおそれがあるからだ。食物繊維にはカルシウムやマグネシウムといったミネラルを排出する作用があり、ミネラル不足になってしまうリスクも。
植田先生によると、
「いま、日本人に足りない栄養素は食物繊維。一方で塩分は多くとりすぎています。ミネラルは別に補うこともできるので、食物繊維はとりすぎてしまうぐらいでちょうどいい。ただ、これだけではタンパク質が足りませんから、魚や卵を加えてみては?」
から揚げ×レモン
から揚げに必ずといっていいほど添えられているレモン。おいしさの意味でも栄養的な意味でも、これは理にかなった組み合わせなのでOK!
レモンはクエン酸やビタミンCがたっぷり。ビタミンCには血中コレステロールを下げる働きがあり、またクエン酸は、唾液や胃液の分泌を助けて消化吸収を促進してくれる。脂質や油分の多いから揚げをもたれることなく、さっぱりと食べられる、相性バツグンのOKな組み合わせというわけだ。
降圧剤×グレープフルーツ
これはNG。降圧剤とは、主に高血圧の治療に使われる薬で、血圧を正常範囲までしっかりと下げてコントロールするのが目的。体内に入ると、肝臓にある酵素で分解される。ところがグレープフルーツに含まれる成分は、この働きを阻害してしまうという。
「そのため薬が体内に長くとどまり、効果を強めてしまうおそれがあります。血圧を余計に下げてしまうんです」
と植田先生。グレープフルーツの実を食べるだけでなく、ジュースを飲んでも同じ作用が。薬を飲む前に、食べたり飲んだりするのはやめておこう。ただし、同じかんきつ類でも、みかんやオレンジは大丈夫だとか。
ワルファリン×納豆
植田先生によると、これもNG。
「ワルファリンは血液を溶かす薬。血栓ができるのを防ぐ作用があります。血液を固めるにはビタミンKが必要で、これは納豆や青汁に多く含まれている成分。
つまりビタミンKは、血液をサラサラにするワルファリンの効果を減少させるので、納豆や青汁と一緒にとるのはNGということ。病院でも、ワルファリンを服用している患者には注意を促していると思いますよ」
納豆や青汁のほかにも、クロレラ、ハーブティーなどに含まれているセント・ジョーンズ・ワート、話題のユーグレナ(ミドリムシ)もビタミンKは豊富。ワルファリンを服用している人は、やはり注意したほうがよさそう。
鎮痛薬・かぜ薬×お茶
つい手近にあるもので飲んじゃうけれど、本来ならば、どんな薬も水か白湯で飲むのが基本。とはいえ、最近は少し事情が違ってきている様子。
「よく患者さんから問い合わせがあるんですが、薬によっては、ペットボトルの緑茶やウーロン茶でもいいとお答えしています。赤ちゃんや小さなお子さんに限り、ジュース類で服用していただくこともあります」(都内の薬剤師)
ただ、鎮痛薬にはカフェインが含まれていることが多く、紅茶や緑茶などで飲んだ場合は過剰摂取になってしまう。なので、やっぱりNG。
風邪薬も同様に、眠気を軽くするためにカフェイン含有の場合があるので、せめてカフェインレスのほうじ茶や麦茶で飲むのがよさそう。
〈お話を伺ったのはこの方〉
植田美津恵先生
医学博士、医学ジャーナリスト。愛知医科大学客員教授、東京通信大学准教授。各大学にて教壇に立つほか、医学番組の監修、テレビコメンテーター、講演活動を行う。近著に『忍者ダイエット』(サンドランチ)