お菓子売り場は11年ぶりの大規模改装で、定番の老舗スイーツだけでなく若い世代にも人気の高いショップがズラリ

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 デパート激戦区で知られる東京・新宿。この地で、1990年代後半からシニアの圧倒的支持を集めてきたのが『京王百貨店新宿店』だ。シニアの好みに合わせた婦人服や婦人靴を豊富に展開。

【写真】婦人服売り場の一コマ

 買い物に疲れたら休憩できるよう各フロアにイスを設置し、売り場の文字を見やすく表示。スタッフもキャリアのあるベテランが多く、ストレスなく買い物できる百貨店として長年、好評を博してきた。

 そんなシニア向けサービスは、ますます充実。スキンケアのカウンセリング体験や、さまざまな相談に専門家が対応する8階の『くらしサプリ』など、親しみやすい店舗づくりに力を注ぐ。

 トレンドを押さえつつ体形の悩みに対応する独自ブランド『ミ・デゥー』は、ほかの百貨店にも出店するほどの人気ぶりだ。

「新規顧客獲得策としては、’16 年に、6階にあったロレックスを1階の正面入り口横に移設オープン。面積を大幅拡大し、アフターサービス、専用カウンターを併設するブティックとして、関東広域からも時計の購入やメンテナンスなどでご来店していただけるようになりました」

 と、話してくれたのは、経営企画室・広報担当の竹田麻耶さん。加えて、若い世代の顧客獲得に向けた新たな動きもある。

「大きく変わったのは、今年3月、11年ぶりに改装オープンしたお菓子売り場。これまでの老舗ブランドに加え、連日、行列が絶えない『ニューヨークパーフェクトチーズ』や、パティシエの辻口博啓さんが手がける『フェーヴ』など話題性の高いスイーツを展開。特に若い女性のお客様が増えてきました」(以下、竹田さん)

 また、これまで点在していたパンの店を集結させた。パン好きの間で評判の店舗『365日』のオーナーシェフが手がける『ジュウニブン ベーカリー』がオープン。このほか、バラエティーに富んだパンの店5店舗がそろい、近隣に勤めるOLやビジネスマンの客をつかんだ。

客を店の奥へと誘導

 食とともに若い客層の獲得に成功しているのが化粧品。従来はシニア層の関心が高いスキンケア系のブランドを強みとしてきた。だが、’16 年の改装に伴い、『イヴ・サンローラン』『ジバンシィ』などの人気の海外メイクアップブランドを正面入り口からの通路に配置、若年層の取り込みに成功した。

 また、『キールズ』『ロクシタン』など、若い世代にギフトとして人気の高いブランドを、あえて売り場奥へ配置。

「入り口付近だけで買い物をすませるのではなく、奥の靴や雑貨売り場にも目を向けていただけるようになりました」

 外国人観光客の需要もしっかりとつかんでいる。インバウンドの観光拠点・新宿という土地柄もあり、売り上げ全体の10%強を免税品が占める。そんな海外顧客への対応として、2階の免税手続きカウンターの隣に、ツーリスト向けのコーナーを設置。

 特に人気の高い『資生堂』をはじめとした化粧品のほか、美容家電の『パナソニックビューティ』を展開した。

 客層の拡大や外国人観光客対応を行いながらも、

「親しみやすさが強みであるからこそ、顧客と親密な関係を築いていける。お客様の声を売り場に展開することで、利便性の高さを打ち出していきたいです」