長谷川穂積(写真:Getty Images)

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18日放送、毎日放送「戦え!スポーツ内閣」では、アスリートの引き際を特集。ボクシング元世界3階級制覇の長谷川穂積が、チャンピオンのまま引退した引き際を語った。

バンタム級で10度の防衛を果たし、2階級制覇も達成した長谷川は、2011年に王座から陥落。3年後に返り咲きを狙ったが敗れ、誰もが長谷川は引退すると考えた。

だが、長谷川は35歳という若くない年齢で再起を図る。当時の取材で、長谷川は子供たちがボクシングの怖さを分かるようになってきたとし、「その怖さの向こう側に、見えない景色というのか、もっと素晴らしいものがあるというのを、父親なりに見せられたらうれしい」と話した。

そしてベルトを失ってから5年。2016年に再び世界に挑んだ長谷川は、試合の49日前に左親指脱臼骨折という全治2カ月の負傷に見舞われる。だが、手術翌日から練習を再開し、日本最高齢となる35歳9カ月で3階級制覇を達成した。

「自分はどれだけ強いかなと思ってずっとボクシングをやってたんですけど、最後に手が折れて、それでも一回も気持ち折れずに試合を迎えられた。自分自身に勝てた」と、3カ月後に引退を決めた長谷川。そのキャリアを振り返り、かつて日本スーパーウェルター級1位のプロボクサーだったトミーズ雅は「全世界の人に見ていただきたいVTRやね。素晴らしい。カッコええ」と絶賛した。

最後の前に敗れた際、「もうやめよ」と何度も引退を勧めたが、長谷川から「やっぱりやり残したことが一個あるんでちょっと待ってください」と拒まれたと明かした雅は、「辞めんでよかったよな。ごめんな、ほんまに」と謝罪した。

さらに、雅はチャンピオンのまま引退しないケースが多い理由について、防衛戦が用意されるため、3〜4000万円のファイトマネーが保証されていると指摘。だが、長谷川はそのマネーになびかなかったと称賛した。

「ほんまは3000万円欲しいやろ?」と振られると、長谷川は「いやもうそりゃあ、欲しかったですね」と正直に返答。当時のマネジャーから「やめてCM1本取ったら3000万円くらいもらえる」と言われ、「確かにそやなと思って辞めたものの、CMなんか来るわけないでしょ」と自虐して笑いを誘った。