C・ロナウドが決めたゴラッソに触発された英誌『Four Four Two』が組んだ「バイシクルボレー」特集。厳選されたのは、いずれも忘れがたい美しいゴールばかりだ。 (C) Getty Images

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 4月3日(現地)に行なわれたチャンピオンズ・リーグ準々決勝第1レグ、ユベントス対レアル・マドリーの一戦で、64分にクリスチアーノ・ロナウドが突き刺した驚愕のバイシクルボレーは、文字通り、世界を熱狂の渦に巻き込んだ。
 
 そのあまりの反響の大きさに、英国のサッカー専門誌『Four Four Two』は、今回のC・ロナウドのゴールに負けず劣らずのバイシクルボレーによるゴールを厳選。『史上最高のバイシクルゴール』と銘打ち、ランキング形式の特集を組んでいる。
 
 流石、サッカーの母国イングランドの専門誌というべきか、厳選された14のゴールはどれも興味深いものばかり。そのなかで最も古いものは、1984年に生まれた2つだ。
 
 まず一つ目は、オランダ代表の名ストライカー、マルコ・ファン・バステンがアヤックス時代にエールディビジの古豪ボシュと対戦した際に、ボックス内で下がりながら相手のマークを外して放った一発だ。「綺麗にコントロールされたショット」と紹介されたこのゴールは13位にランクインした。

 
 そして、もう一つは、メキシコを代表する点取り屋だったマヌエル・ネグレテが、UNAM(プーマス)に所属していた時に決めたゴール。右サイドからのクロスを胸でトラップした後、ボールを頭上に浮かして相手DFをかわし、さらに頭でボールをコントロールしてバイシクルで豪快に突き刺した。「素晴らしいの一言に尽きる」と綴られたこちらは5位に入った。
 
 専門誌らしくコアな選択も目立った一方で、日本のサッカーファンの脳裏にも深く刻まれているであろうゴールも選ばれている。なかでも、ブラジル代表の大スターだったロナウジーニョがバルセロナに在籍していた2006-07シーズンにカンプ・ノウを沸かせたゴラッソは忘れがたい。
 
 リーガ第12節のビジャレアル戦で、ロナウジーニョは右サイドからのクロスを胸でトラップすると、ボールが浮いている間に身体を時計回りに半回転させ、咄嗟の動きに一瞬止まったマーカーと相手GKをあざ笑うかのように、右足でバイシクルボレーを叩き込んだのだった。
 
 このバルセロナで伝説と化したゴールは8位と順位こそ高くはなかったが、同誌は、「バイシクルボレーの素晴らしさを本質的に見せつけてくれた。ロナウジーニョは誰もが不可能だと思った位置に胸トラップでボールを浮かし、アクロバットにやってのけた」と絶賛している。

 
 今回の特集を組むきっかけとなったであろうC・ロナウドのユベントス戦でのゴールを、4位とした『Four Four Two』誌が、史上最高のバイシクルボレーに選んだのは、自らを「神」または「ライオン」と呼ぶ男、ズラタン・イブラヒモビッチによる驚愕の一撃だ。
 
 イブラヒモビッチがその圧巻のボレーを放ったのは、2012年11月13日にホームで行なわれたイングランドとの親善試合だった。この日、すでにハットトリックを決めていた男が魅せたのは、試合終了間際である。
 
 自陣からのロングフィードをペナルティーエリア外に飛び出した相手GKジョー・ハートがヘディングでクリア。イブラヒモビッチは、このルーズボールをそのままボレーで叩き、綺麗な弧を描いたシュートは無人のゴールへと吸い込まれた。

 
 同年の年間最優秀ゴール「プスカシュ賞」にも輝いた驚愕の一発を1位に選出した同誌は、その理由とともに賛辞を寄せている。
 
「ハートがクリアをした時点でイングランド代表は、それほど危機的な状況になかった。ゴールはイブラヒモビッチの背中にあり、距離も30m以上あった。そしてDF陣もシュートコースをかき消す最善のポジションを取っていた。
 
 しかし、そうした事実は意味をなさなかった。本能と大胆さを併せ持っていたイブラヒモビッチはボールに対して2、3歩ステップを踏んでから観る者が息を吞むシュートを放ったのだから。この夜、豪傑なストライカーが魅せた4点目は力と繊細さを組み合わせた驚愕のフィニッシュだった」
 
 ファン・バステンやロナウジーニョ、そしてC・ロナウドにイブラヒモビッチと数々の名手たちが挙げてきたバイシクルボレーでのスーパーゴール。その記憶はサッカーファンのなかで色褪せることはないだろう。