エンゼルス・大谷翔平【写真:田口有史】

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カブススカウトに聞く「投手・大谷」、「修正の余地はあるだろうね」

 エンゼルス大谷翔平投手は24日(日本時間25日)、キャンプ最後の実戦登板となる紅白戦のマウンドに上がった。打者21人に85球を投げ、2安打2失点、5四球1死球5奪三振。特別ルールで行われ、1、2回は3アウトを取れずに途中で打ち切れられた。この試合を視察したカブスのスカウトは、大谷の“二面性”を指摘。スプリットを意図的に多投した序盤の内容なら、開幕メジャー入りは「ノーだ」と厳しく指摘した。

 キャンプ地テンピで行われた大谷の開幕前最後の実戦登板。多くのエンゼルスファンが集結する中、バックネット裏から鋭い視線をマウンド上に送る男がいた。

「ファストボールは良かったと思う。変化球の制球に苦しんでいるように見えた。最初の2イニングまでは感覚をつかもうとしていた。100パーセントで投げていたという印象はない。だが、4回にはギアを上げていた。修正の余地はあるだろうね」

 ダルビッシュ有投手が所属する強豪カブスのスカウト担当はこう語った。

「スプリングトレーニングではひどい内容の選手はたくさんいる。オオタニはダルビッシュとは違う。彼(ダルビッシュ)には経験がある。多くの共通点もあるけれど、全く別の投手だから仕方がない。オオタニには経験が必要なんだ」

同スカウトは2年前のピオリアキャンプも視察「メジャーで活躍する準備はできていると思った」

 キャンプと本番は違う。だが、大谷が不安定な仕上がりとなっていることは、百戦錬磨のダルビッシュのようなメジャー経験がまだないことも理由の一つだと同スカウトは指摘した。

 大谷の開幕25人のアクティブ・ロースター入りはほぼ間違いないが、マイク・ソーシア監督はまだ明言していない。この日は尻上がりに調子を上げたものの、相手はマイナーリーガー、しかも紅白戦だった。

「彼は開幕ロースターに入ると思うか?彼は私のチームでもなければ、私の判断ではないので難しいが、彼にはロースター入りする能力はあるとだけ言っておく。ロースターに入れるのか、サービスタイムを考えてマイナースタートにするのか、それはエンゼルスの判断だ。しかし、2年前に彼を見た時にはメジャーで活躍する準備はできていると思った。この試合では、私は分からない。最初のイニングではノーだ。最後のイニングはイエスだ」

 2年前のピオリアキャンプで大谷を初めて視察したという同スカウトはサングラスの奥で鋭い視線を光らせた。当時はメジャーでの活躍を確信できたが、2年の時を経たエンゼルス大谷に対しては“疑問符”をつけている。

マイナーで迎えるべきと主張する声も…「修正さえできれば、彼は大丈夫」

 一方で、4回以降のパフォーマンスなら問題ないとも指摘。ただ、4月13日以降にメジャー昇格すれば、フリーエージェント(FA)の権利取得が1年遅れるというメリットもある。そのため、米メディアの中には開幕をマイナーで迎えるべきと主張する記者がいるのも確かだ。その決断はエンゼルス次第だが、現時点では開幕メジャーがほぼ確実な状況となっている。

「何が問題なのだろうか。ルーティーンも違う。スケジュールも日本とは違う。変わったことも多いので、修正しなければいけない部分は多い。日本から来る選手はもっと年を重ねて、より成熟している。彼は子供というわけではないけれど、まだ若い。修正さえできれば、彼は大丈夫だろう」

 大谷のポテンシャルと将来性に疑いはない。だが、すぐにメジャーの舞台で結果を出せるのか。そして、滑りやすいメジャー公式球、マウンドなどNPB時代との違いに適応できるのか。ライバル球団のスカウトは大谷の今後の修正力を注視している。(Full-Count編集部)