サービス業の人手不足、「学力低下」も影響? 経済評論家・平野和之さん
人手不足と言われて久しいが、なぜいつになっても解消しないのだろうか。また人手不足にも関わらず、賃金が上がらないのはなぜか。経済評論家の平野和之さんに聞いた。
財務省が1月31日に発表した調査によると、回答した1314社のうち、71%もの企業が「人手不足感」があると回答している。また昨年よりも人手不足が深刻になったという企業は52.1%に上っている。
介護の現場では人手不足でブラック労働に
人手不足は飲食をはじめとしたサービス業や介護の現場などで特に深刻だと言われている。少子高齢化が根本的な原因ではあるが、学力低下も影響しているという。
「学力が低い層ではさらに学力が低下しています。サービス業や製造業の仕事は誰にでもできる仕事のように見えますが、課題解決能力が必要ですし、ある程度のモラルが必要だからです。例えば、モラルが低下した人たちを雇うことによって、コンビニのアイスケースに入ってしまって炎上したり、顧客の個人情報でナンパしてしまったりするわけです」
人手不足は様々な弊害を引き起こす。介護の現場では、「人手不足でブラック労働となり、ストレスが溜まって、入居者を虐待する」といった問題が起こっている。
「景気が悪くなっても失業率が上がらないが、景気が良くなっても賃金が上がりにくい」
こうした中、企業はどのように対応すればいいのだろうか。
「人が足りないのですから、設備投資をして省力化するしかありません。しかし中小企業には設備投資をするお金もありません。もう一つの可能性としては企業の統廃合を進めることだと思います」
また、人手不足と言われて久しいが、なぜ賃金が上がらないのだろうか。
「中小企業は大して利益が出ていないので、人が足りなくても、単価の高い人を雇うことができないんです。また安倍首相が3%の賃上げを求めていますが、働き方改革で残業代が減った分、相殺してしまう可能性が高い」
さらに日本では解雇が厳しく規制されていることも、賃金が上がりにくい原因だという。
「日本では、景気が悪くなっても失業率が上がりません。その代わり、景気が良くなっても給与が上がりにくいんです」