ヴァイッド・ハリルホジッチ監督(撮影:佐野美樹/PICSPORT)

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10日のブラジル戦は、正直に言うと前半の3-0で勝負が決していました。ブラジルは3点を奪った時点で日本の実力を見極め、そのあとはモチベーションが低下しているように見えました。ですから後半だけ取ると日本が1-0ですが、それが「よかった」という成果にはならないと思います。たとえ負けるにしても最後までブラジルを焦らせる展開にならなかったことは残念です。

ブラジルと日本の一番の差はどこだったか。それは「チームとしての意思統一」だったと思います。ブラジルの選手は守備の時に連動してボールを奪いにいき、チャンスと見るといろいろなポジションの選手が飛び出していってゴールを狙いました。攻撃でも守備でも、チームのスイッチが入ると全員が同じイメージを描くのです。

対して日本は、1人あるいは2人だけが考えを共有しているだけでした。ボールの奪いどころもハッキリせず、誰かが相手選手を追い回しに行っても他の選手は遅れてしまいます。攻撃でもパスの出し手と受け手だけが考えを合わせていて、周りの選手は連動しません。しかも、考えが同じになった選手同士ですらパスをミスしていたのです。

ワールドカップへの残り時間を考えると、この問題点を解決するのに新たな選手を呼んだり、新しい戦術を試したりすることは現実的ではありません。また、今の選手たちの技術レベルを上げるというのにも限界があります。

ならば、意思統一をもっと細かなレベルから構築していくことのほうが実現性があると思います。どこでボールを奪うのか。どうやってカバーして、どうやってフォローするのか。タイミングとイメージが同じという選手が増やしていくことこそ、日本がやらなければならないことでしょう。

また、日本には個人で状況を一変させるクオリティを出せた選手はいませんでした。本田圭佑香川真司岡崎慎司という今回外された選手たちに代わる選手はいなかったのです。僕は改めて、本田、香川、岡崎の3人は代表に必要だと感じています。

ブラジル戦の反省を踏まえ、ベルギー戦ではリスクを取ってでも自分たちの100パーセントをぶつけてほしいと思います。ブラジル戦では持てなかった期待感――何かやってくれるんじゃないかという見ている人たちをワクワクさせる気持ちを、ベルギー戦では持てるような溌剌としたプレーを期待しています。