介護職で嫌だなと思ったこと

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慢性的に人材が不足している介護業界。2025年には約37万人の介護職員が不足すると言われている。エス・エム・エスは11月9日、「介護職をやっていた良かったこと、嫌なこと」に関する調査を実施した。

調査は11月11日の「介護の日」に先立ち、同社運営の介護情報サイト「けあとも」に登録している介護従事者203人から回答を得た。

「介護職をやっていて嫌だ、つらいと思うこと」を聞くと、1位は「スタッフ間の連携・意思疎通があまりない・悪いと感じたとき」(46%)で、約半数にのぼった。

「サービス出社が多く、退職するスタッフに有休消化をさせない」

2位以降「人間関係が悪い、うまくいかないと感じたとき」(41%)、「スタッフや人員不足により忙しい・業務が過密」(37%)、「給与が低い」(33%)、「法人の理念や運営方法に不満を感じるとき」(25%)などが続く。あるデイサービス勤務者は、

「昼休みがなく(利用者と一緒に昼食を取る為)介助しながら自分も昼食を食べていた。終業時間に経営者に『タイムカードを押せ』と言われ、残業代を払わない事業所にいたときはつらかった」

という。また「サービス出勤が多く、またサービス残業がシフトに組まれる事がある。有給休暇は使わせてくれず、退職するスタッフにも有給休暇消化をさせてくれない」などという声も多い。他にも、

「サービス提供責任者から嫌がらせをされたり、同じ職場なのに派閥があるなど人間関係がかなり難しい」
「職場はいじめが多い。いじめで退職する職員を何人か見てきた。とても情けない」

など人間関係に関するコメントが寄せられた。同社はリリースで「『給料が安い』ことではなく(略)職場にフィットしていないがために悩む介護職員が多い」と分析している。

「父親のように思っていた利用者が亡くなって、自身が抜け殻のようになった」

一方、「介護職をやっていて良かったと思うこと」は、1位「利用者や家族にお礼や嬉しい言葉を言われたとき」(40%)、2位「利用者や家族から信頼されているなと感じたとき」(37%)、3位「利用者が回復したり状態が改善したとき」(34%)となった。具体的な話を聞くと、

「家族から『ここに母を入れて良かった、あんな母の顔、何年ぶりに見たかしら』と涙ぐまれたとき」
「普段、暴言ばかり口にする利用者が、笑顔で『ありがとう』と言ってくれた事があり、とても嬉しかった」

などの声が寄せられた。中には「父親のように思っていた利用者様が急に亡くなられ、私自身が抜け殻のようになってしまった。精神的につらかった」という人もいた。

同社は「普段一緒に過ごす時間が多いからこそ、介護職として働く上でのモチベーションに(利用者や家族の言動が)大きく影響していることがうかがえます」とコメントしている。