世界的写真家杉本博司氏が、
文化功労者に選出

2017.10.26


世界を舞台に活躍する写真家杉本博司氏が、平成29年度(2017)の文化功労者(*)に選出された。

杉本博司氏といえば、水平線を写した『海景』や、『劇場』、『建築』シリーズなどコンセプトが明確で高い技術力を持ち合わせたモノクロ写真の作品で、世界的に有名。メトロポリタン美術館(NY)やポンピドゥセンター(パリ)など世界有数の美術館に収蔵されている。またTOKYOWISEでも以前ご紹介した、江之浦測候所を今月9日にオープンさせたばかりだ。

なお、この受賞にあたり、杉本博司氏は次のようにコメントを寄せている。

文化功労者として 杉本 博司
この度、文化功労者として顕彰されることは光栄のいたりでございます。私は成人してからのほとんどの時間を海外で過ごしてまいりました。その間、日本文化がいかに日本以外の文化に比べて特殊であるかということを身に沁みて感じ、またそのような環境のもとに生を受け、幼少期から青年期の多感な時期を過ごせたことを有り難く、また誇りに思ってまいりました。私は日本人として、海外の人々からの日本文化に関しての様々な質問に答えてまいりました。いわば日本人の日本に関する説明責任を果たしてきたつもりでございます。今世界は成長の臨界点に達し、成長と環境破壊との矛盾になす術を持ち得ていません。私は日本文化の特殊性は、その豊かな自然に囲まれて過ごした縄文の1万年によるのではないかと考えるようになりました。文明化とは森を切り自然を壊すことから始まります。古代の日本人は森を壊すことを禁じ、自然界に潜む神々と交信する技術を学びました。その時代に育まれた感性が今の日本人の血にも脈々と流れています。これからの難しい世界を導くことのできる力は、そのような感性の内に見出されるのではないか、自然と共生することのできる文明、それは日本人の感性の中にあると私は思います。文化功労者として、これからも国威発揚を文化を通じて行っていく所存でございます。

またオープンした江之浦測候所の様子はまた後日レポートしますので、乞うご期待!
(Text:TOKYOWISE編集部)
(Photo:Masashi Nagao)*文化功労者は1951年に発足した、文化の向上発達に関し特に功績顕著な者を顕彰するために設けられた制度。

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