容疑者が子どもたちを連れてきたさいたま市内の公園で遊ぶ親子(※写真は一部加工)

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「もともと小さな男の子に興味があった」

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 9月28日に逮捕された東京都荒川区の清掃作業員、中橋良明容疑者はそう供述した。

 逮捕容疑は、9月18日午後、埼玉県さいたま市内の駐車場で未就学の男児同士にわいせつな行為をさせたこと。

幼児性愛者を示す造語

 一時的に子どもを預かるインターネットの子育て支援サイトを隠れ蓑に、幼児に接近。容疑者のものとみられる書き込みには「ファミリーサポートセンター協力会員」「託児経験もあり」と自己PRが残されていた。さらに「ボランティアで預かり保育を行っています。料金は無料」とうたい、子どもを集めていた。

 さらに悪質なのが利用者を安心させるため、公的な支援サイトを装っていた点だ。

 ネットで展開していたサイト名のひとつは『荒川区子育て支援ブログ』。3歳から6歳までの男の子が対象の『幼児教室』を開催していた。

 開催場所は荒川区内の「町屋ふれあい館」「汐入ふれあい館」など。公的な場所の名前を挙げることで自治体との近さをにおわせていた。

 親切な育児サービスを提供しているように見える一方では、個人のSNS上に「ショタやショタ系同人誌が好き」と本質を明かしていた。

「ショタコン」「ショタ」とは、小さい男の子を好む者、幼児性愛者を指す造語だ。

 男性の性犯罪被害者の支援を行う『カウンセリングオフィスPomu』の山口修喜さんは、

「ショタ=ゲイではありませんし、みんなが罪を犯すわけではない。加害者は子どもたちを前にその性的衝動を抑えられなかったのではないか」

 と、事件の背景を仮定する。

 これまで中橋容疑者の活動には誰も疑問を持たなかった。

 容疑者が『幼児教室』を開催していたとする『町屋ふれあい館』の職員は、

「施設の1階はオープンスペースになっているので、誰でも申請なしで利用できます」

 と説明する。

 近くには容疑者の自宅もあるが、周辺の住民は一様に「知らない顔」。幼い男の子を持つ母親は「知らない人に子どもは絶対に預けられない」と、こわばった表情でもらした。

 事件発生当日、子どもたちを遊ばせていたとみられる県営公園では、平日も親子連れが多く、大人が子どもを遊ばせていても気にならない。

 2人の子どもと遊びに来ていた20代の女性は「待機児童問題もあるし、行政の一時預かりもいっぱい。知らない人でも預けるしかなかった被害者側の気持ちはわかる」と同情する。

「今回の事件の加害者は、確信犯ですね。サイトを巧みに使い、卑劣で計画的です」

 と山口氏は犯行を非難。

「男の子も性的な被害に遭います。身体の傷は治っても、心には大きな傷が残り、被害者の中には事件後うつや不安、行為のフラッシュバックなどの症状が現れる人もいると言われます」(山口氏)

 しかし、男性被害者へのフォローは十分ではない。

「(親子での)相談先、組織支援体制は足りていません。男性の性犯罪被害者の支援者も増えてほしい」

 と支援の重要さを訴えた。

 子どもたちの心に傷が残らないといいが……。