老後向けの投資は「3種類」で十分な理由
■覚える商品は3つだけ。運用はそれで十分
▼投資すれば“必ず”儲かるわけではない
老後資金をつくるには投資しないといけないか? といえば、決してそんなことはありません。
投資は、必ず利益が出るものではありません。ただ、リスクをとって投資すれば高いリターンを得る可能性があるので、私としてはお勧めしたい、ということです。投資して増やせばなんとかなる、と思ってはいけません。
投資すれば、悪いときは1年で3分の1も損しますが、同じ確率で年に4割の利益が出て、平均すれば年5%の利益が出る、と考えます。投資するなら、まずそれを理解して納得すること。そして、投資する金額は、3分の1減っても自分が我慢できる金額で判断します。たとえば、損して我慢できるのは50万円が限界とすれば、投資できるのは150万円程度ですね。
運用するお金は、「安全資金」と「投資資金」の2つに分けて考えます。
使う商品は、3つだけで十分。安全資金は「個人向け国債(変動10年)」。元本保証の商品では、安全面でも利回り面でも現在、最も優れた商品です。
▼2つの投資信託を持ち続けるだけ
投資資金は2つの投資信託で運用します。投資信託では過去の実績なんてアテにできません。選択の決め手は手数料が安いこと。信託報酬の安いインデックスファンドを選びましょう。
1つは、外国株に連動するもの。日本を除く海外先進国の株価に連動する「ニッセイ外国株式インデックスファンド」が候補です。
もう1つは日本株に連動するもの。日本株の指標は日経平均株価が有名ですが、TOPIXのほうが銘柄が多く、バランスよくできています。投資候補は、株式と同様に売買できて購入手数料の安い上場投資信託(ETF)の「上場インデックスファンドTOPIX」です。
この2つの投資信託に、外国株型6:日本株型4の割合で投資します。この買い方は、積み立て投資でも同じです。あとはそのまま持っているだけ。これで、利回り年5%を目指します。
投資コストを下げるために、税金が安くなる制度「確定拠出年金」と「NISA」も活用してください。
運用に手間をかけることはありません。そのパワーを仕事に向けたほうが、老後にもずっと役立つはずです。
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経済評論家。楽天証券経済研究所客員研究員、マイベンチマーク代表。金融機関を中心に12回の転職を経て現職。近著は『「お金」の考え方 このままでいいのか心配です。』(日本経済新聞出版社)。
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(経済評論家、楽天証券経済研究所客員研究員 山崎 元 撮影=村越将浩)