「上昇トレンドありき」の投資は時代遅れ!? 「不透明」な時代の投資方法とは

写真拡大 (全2枚)

「2017年」は転換点の年。今の世界情勢を見て、多くの人はそれを感じているだろう。そして明治維新から150年にあたる来年2018年は、日本にとって非常に意味のある年となる。

また、ここ2〜3年の間に起きた様々な出来事――ドナルド・トランプの米大統領就任、イギリスがEU離脱という選択をしたことなど――は、世界がこれまでの既得権益を破壊しようとしていることを示しているといえる。

もちろん、それは経済にも多大な影響を及ぼすだろう。

『未来からの警告 2 トランプの破壊経済がはじまる』(集英社刊)の著者で、独自の「Tモデル」「T2モデル」を用いて経済を予測する経済アナリストの塚澤健二氏は、本書の中でこれから起こり得る「経済の大転換」と「第二のリーマン・ショック」を警告している。

では、そんな最中で個人投資家は身につけるべき視点とは一体、何なのだろうか?
4回にわたってお送りする塚澤氏に聞く「2017年後半の経済トレンド」。最終回の今回は個人投資家たちに向けた「金言」を頂いた。

 ◇    ◇    ◇

まず、個人投資家の方々を見ていて思うことは、とても古い固定観念を持っている方が多いということです。

それはどういうことかというと、株価の上昇局面にある個別銘柄にばかり投資をしている方が多いんですよね。むしろ、上がらなければ投資できないと思っている。
しかし、2010年頃から日本で上場投信であるETFが少しずつ増えていて、その中には、指数と逆の動きをする「リバース型」のETFも登場しています。つまり、今は株価の下落局面でも投資できるようになっているんです。



これまでお話してきた通り、経済状況や相場が大きく変わりやすい局面を迎えていますが、このような状況下においては、私は株式投資においては個別銘柄ではなくETFを活用することを勧めています。個別銘柄では、業績の下方修正など突発的な急変があり得るからです。

だから、まずは、これまでの投資スタイルを見直してほしいですね。
これから先、これまでの常識が通じない社会が到来するのは自明です。そこでは、誰がババをつかむかというレースになります。
古い投資スタイルでは通用しないのにも関わらず、それを続けるならば、先は暗いばかりでしょう。これからの投資については、書籍の第6章で触れていますのでぜひ参考にしてほしいです。

最後に、今後の経済を予測するための視点を身につける方法をアドバイスしましょう。

私は「Tモデル」と「T2モデル」という2つの手法を使って、将来何が起こるかを予測しています。
まず、「Tモデル」は、様々な指標をデータ化し、指標同士の相関を見つけたり、ギャップを見つけたりすることが目的です。普通に考えればこう動くはずなのに、今回に限ってはこう動いていない。それは何故だろうと追求します。
また、もう一つ大きな目的があります。それは先行指標を作るということ。第1回でも述べましたが、雇用統計が好調だからアメリカの景気が良いと判断するのは大きな間違いです。それは、雇用統計は様々な指標の中で一番遅れて上向くから。実は他に先行する指標があるはずなんです。
「Tモデル」は「ギャップと先行指標を見つけるための手法」なのです。

一方の「T2モデル」は物理のエネルギー法則を応用し、「価格」と「時期」を予測していく手法です。
「価格」と「時期」はマーケットの予測において最も重要です。日経平均が今後どうなるのか、予測するエコノミストは多いでしょう。でも、「いつ」「いくら」になるのかを明言している予測はあまり存在しません。「上がる」「下がる」ということは誰でも言えますが、それだけでは投資に役立ちません。

つまり、予測の精度をあげるためには、「この指標とこの指標は実は相関があるのではないか?」「この指標が動いてからすぐに別の指標が動いている法則があるのでは?」というように、「つながり」を捉える事が大事なのです。
この視点を持つことができれば、いずれ未来の流れを察知できるようになるはずです。

トランプ米大統領によって始まった「破壊経済」が、世界に何をもたらすのかはまだ不明です。しかし、固定観念や常識を捨てなければ、これから先、あらゆる変化に対応することができなくなるでしょう。
世界的超低金利時代の終焉やビットコインの台頭、これまで既得権益の崩壊など、世界ではさまざまなことが表出しています。そんな時代を生き抜くために、ぜひ拙著を読んでほしいと思います。

(新刊JP編集部/取材日:6月21日)

【関連記事】

中古物件で大儲けした人の 「空室物件」で稼ぐテクニック
不動産長者が語る 高利回りを生む「超穴場物件」の発掘ポイントとは