スクラム・ジャパンを求めてがんセンターに電話殺到

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 国立がん研究センター内の研究開発機関のひとつ、先端医療開発センターが実施している臨床試験「SCRUM-Japan(スクラム・ジャパン)」が2017年5月27日、テレビ朝日の報道番組「サタデーステーション」で取り上げられたところ、問い合わせが相次ぎ、同センターへの電話がつながりにくくなっている――。

そんなお知らせを同センターが5月29日に公式サイトで発表した。

がんの個別化治療の確立をめざし

日本全国規模で遺伝子を調査することで従来の治療薬が利用しにくい珍しい遺伝子異常を持つ患者を見つけ出し、その患者にあった治療法や治療薬を提供する。がん治療を行いながら遺伝子異常の解析方法の臨床試験も行い、さらに膨大な遺伝子情報をデータベース化できるため、将来的にはがんの遺伝子治療、個別化治療を確立することも期待できるというものだ。

サタデーステーションでは俳優のディーン・フジオカさんが取材。国立がん研究センター東病院にでかけ、臨床試験の結果ほとんど副作用もなくがんが縮小した患者もいたといった事例を取り上げた。

この報道を受けて、臨床試験への参加希望者が殺到したようだ。肺がんや消化器がんは患者数だけでなく死亡者数も多い、いわばメジャーながん。既存の抗がん剤での治療効果が出なかった患者が、新たな治療法に望みをかけて臨床試験を希望するのも理解できる。

同様の現象は2016年11月にもあったようで、このときはNHKスペシャルの番組でスクラム・ジャパンが取り上げられ、先端医療開発センターに電話が殺到しているとのお知らせが掲載されていた。

だれでも参加できるとは限らない

同センターはスクラム・ジャパンへの参加を希望する場合、主治医に相談するかスクラム・ジャパンに参加している病院まで問い合わせるよう呼びかけているが、臨床試験に参加するには条件があり、必ず参加できるとは限らないとも注記している。

参加施設は同センターのウェブサイト上で確認可能だ。肺がんの臨床試験は全国各地の医療機関が参加しているが、5月31日のウェブサイト情報更新時点で多くの施設が準備中となっている。また、消化器がんの参加施設は北海道、茨城、埼玉、千葉、東京、神奈川、石川、静岡、愛知、大阪、兵庫、愛媛、福岡の20施設のみで、一部はやはり準備中だ。