上宮太子vs初芝立命館
投手・森田輝（上宮太子）
勝てば近畿大会出場が決まる準決勝、この1週間は選手だけでなく首脳陣も気合いが入っていた。初芝立命館では普段よりミーティングが長くなり、その内容も「お風呂の温度は42℃、浸かるのは5分から10分で浸かり過ぎないように」など細かなものに及んだ。しかし、試合を優位に進めたのは打線好調な上宮太子。投打に持ち味を発揮した。
先発・森田 輝(2年)の立ち上がりは、一死から初芝立命館の2番・陣川 薫平(2年)に安打を浴びたものの3番・萩野 遼太郎(2年)を低めいっぱいのストレートで見逃し三振、4番・野村 文哉(2年)はサードゴロに打ち取り無失点。上々のスタートを切った。
すると打線は1番・坂中 龍馬(2年)がいきなりセンターオーバーの三塁打。2番・木岡 大地(2年)、3番・中山 泰斗(2年)は連続四球を選び無死満塁のチャンスを作った。しかし、4番・折出 智勇(2年)はサードライナー、5番・川崎 宗良(2年)はファーストゴロのゲッツーで得点ならず。いずれもいい当たりだったが野手の正面を突いてしまった。最初のチャンスは逃したが、2回に平田 航大(2年)の二塁打から二死一、二塁とすると打線を引っ張る坂中の適時打で先制に成功。
さらに5回には一死二、三塁から川崎の適時打で2点を追加。コントロールの良いエース・森田はこの時点でイニング数を上回る6四球と珍しく制球を乱したが、無失点投球を続けていた。
投手・中林怜（初芝立命館）
リードして後半を迎えると6回にも打線がつながり一挙4得点。セーフティリードを大きく超える点差をつけ、7回で試合を決めた。
7対0で7回コールド勝ち。それでも日野 利久監督は好調な打線より守りに手応えを感じていた。「森田はフォアボール多かったですけど、相手に点をやらない、全員で守って勝とうと言ってやって、0点に抑えたんで明日につながると思います」
センターを守る木岡は日野監督が見た中で外野守備は歴代でもナンバーワン。マスクをかぶる平田は元々外野手だったが新チームを見越して春にコンバート。控え捕手だった先輩の教えを受けメキメキと力をつけた。打線でも1番・坂中は日程が進むにつれて調子を上げ、5回に貴重な得点を叩き出した川崎は1年春からベンチ入りしていた期待の選手。夏にエースの森田、キャプテンの中山もベンチ入りを果たしたが入学早々背番号をつけたのは現部員では唯一だった。センターラインが安定し、攻守に軸となる選手が揃えば近畿大会での活躍にも期待が高まる。
敗れた初芝立命館の井上 将之監督は「力の差です。正直言って。我々より上宮太子さんの方がベンチワーク含め鍛えられていた。簡単に空振りしない、粘り強くチャンスで一、二塁間に転がす打球が多かった。我々としても見習うべき点だと思いますし、しっかり向き合って次の一戦に臨みたい」
普通科の生徒は週明けからフィンランドへの修学旅行を控えている。部員の多くは体育科に所属するがベンチメンバーではセカンド・中山 健太(2年)ら5人が普通科。来週から始まる近畿大会への出場が決まれば本人達の希望により修学旅行よりも練習を優先する予定だという。行きたいのは遠く離れた異国の地よりも、高校野球の聖地・甲子園。大阪からの近畿大会出場枠は3つ。まだ最高のチケットを手にするチャンスは残されている。
（文・写真＝小中 翔太）
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