加速する気候変動を「167の世界地図」で示すインフォグラフィック
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英国レディング大学の気候科学者エド・ホーキンスは、データヴィジュアライゼーションの達人だ。
彼が作成した、世界の気温が加速度的に上昇していく様子をカラフルに表現したGIF画像「Spiraling global temperatures」(急上昇する地球の気温)は、2016年5月にネット上で広まった。それはリオデジャネイロ・オリンピックの開会式という思いがけないところでも使われている。
ホーキンスがデータを可視化した最新画像「Mapping global temperature changes」(地球の温度変化マップ)は、前作ほど抽象的ではないが、同じような切迫感を伝えている。
このインフォグラフィックは、地球の気温を表示したマップを数多く組み合わせて1つのチャートにしたものだ。使われているのは、1850年から2016年までの167年分である。
これらのマップは、イギリス気象庁ハドレーセンターが作成した気温解析データ「HadCRUT4」に基づき、地球地図を表面温度別に色付けしている。
全体像とその拡大画像を見ると、各マップがさまざまな色合いの赤と青に色分けされたピクセル状になっているのがわかる。1961〜1990年を基準期間とし、気温がそれより低い場合は青、高い場合は赤で示されている。灰色の部分は、十分なデータが得られていないために色が確定できないことを意味する。赤い部分は年々増えている。はじめは徐々に、しかし1980年以降は一気に変化している。
このインフォグラフィックからこれほどはっきりとメッセージが伝わってくるのは、ホーキンスが使った情報提示手段のなせるワザだ。彼は「small multiples」(小さな複合データ群)と呼ばれるテクニックを用いている。これは、尺度や方位がまったく同じ画像をいくつも横に並べ、個別の画像同士ではなく、全体を比較するよう促す方法である。
「ほぼすべての地域で気温が上昇しているのは、(気候変動が)それぞれが住む場所で営む日常生活と関係があるということです。そのため、気候変動が個人レヴェルでより深い意味をもつのです」とホーキンスは言う。こうした情報提示は、徐々に起こる変化を可視化する際には説得力のある方法だ。