二季連続出場を狙う札幌第一を止める学校は? 150キロ左腕・古谷(江陵)は勝利に導く投球ができるか?【南北北海道大会抽選会後 展望】
今日から開幕した北海道大会。ここで南北に分かれて見所を紹介していきたい。
■組み合わせ表もチェック!【第98回北北海道大会組み合わせ表】【第98回南北海道大会組み合わせ表】
南北海道は札幌第一、駒大苫小牧が軸か上出 拓真(札幌第一)
今春のセンバツに出場した札幌第一を中心に、駒大苫小牧、北海道栄、北照、東海大札幌、北海と実力校がしのぎを削る。
札幌第一は、センバツ出場の立役者だったエースの上出 拓真(3年)が変わらぬ安定感を誇る。札幌支部予選の初戦こそ初回に3失点したものの、すぐに修正してみせた。2試合12イニングを投げて失点はこの3点だけ。甲子園では主将でエースで4番と3つの重責を担っていたが、この夏は投手に専念するため、8番に座る。リラックスして立った打席では人生初の2打席連続本塁打を放つなど、昨秋に続き投打で存在感を示している。
2回戦敗退した春季全道大会よりも戦力はアップした。この夏の支部予選では、背番号15の柴田 颯(1年)を4番に抜擢。昨年の侍ジャパンU-15でチームメイトの野村 大樹(早稲田実業1年)らを抑えてMVPに輝いた左のスラッガーは、予選2試合で5打数3安打2打点と結果を出した。また、春季支部予選代表決定戦で左膝を痛めた甲子園メンバーの長門 功(3年)が南北海道大会から試合復帰の予定。出場16校中唯一5割超えのチーム打率・549をマークした強力打線がさらに厚みを増す。
総合力の高い駒大苫小牧もあなどれない。春季全道大会は2回戦で白樺学園にミス絡みで逆転負けしたが、潜在能力は高い。昨年の春から全道のマウンドを経験している右の阿部 陽登(3年)と左の阿部 光輝(3年)という左右の2枚看板は、支部予選2試合で失点を許さなかった。打線は3番の若林 楽人主将(3年)を中心に切れ目がない。
予選のチーム打率・472は今大会出場16校中3番目の高打率。守りも無失策と隙がない。現ヤンキースの田中 将大投手(関連記事)を擁して3年連続で甲子園決勝に進み、早稲田実業との決勝再試合の末に準Vに終わった夏から10年。再び聖地を目指す。初戦の相手は好投手の倉内 凱之(3年)擁する札幌日大で、1回戦屈指のカードとなりそうだ。
昨秋、今春と全道大会で準優勝だった北海道栄は3度目の正直で甲子園を目指す。チームを支える左腕エースの金澤 祐汰(3年)が支部代表決定戦で6回を投げ8安打6失点したことが気になるが、昨秋の大会後に打力強化に取り組んで成果は顕著に表れている。3試合で40安打47得点と打ちまくった。道大会の場数を踏んだ選手が多いだけに、投打が噛み合えば、勝ち上がっていけるだろう。北海道栄、札幌第一、駒大苫小牧の3校が左ブロックに集まり、どこが決勝に進むのか注目される。
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[page_break:江陵の150キロ左腕・古谷は快投なるか?]右ブロックは、北照、東海大札幌、北海が有力だ。北照は、エース番号を背負う山本 琉生(3年)のほか、鳴海 大輝(3年)、藤田 仁羽(3年)が支部予選で好投して層が厚くなった。攻守の中心は、1年春から公式戦に出場した経験値を買われてこの夏から主将に指名された斉藤 上総(3年)。得点力はこの「1番・遊撃」の切り込み隊長の働きにかかっている。
昨春、今春と支部予選で敗退した東海大札幌と北海は、最後の夏にチームとしてまとまってきた。スタンドに放り込める長距離打者が並ぶ東海大札幌打線は爆発力を秘め、継投策をとる投手陣はコマがそろっている。北海は、昨年夏の甲子園を経験しているエースの大西 健斗(3年)と4番の佐藤 佑樹(3年)がこの夏、故障から復帰。投打の柱がそろい、伝統である隙のない野球で2年連続の甲子園を狙う。
江陵の150キロ左腕・古谷は快投なるか?遠軽ナイン
昨年の代表校・白樺学園が優勝候補筆頭と言えるだろう。今春の全道大会では、北北海道勢で唯一4強入り。昨夏の甲子園メンバーでエース番号を背負う橋本 球道(3年)を登板させず、2年生左腕の牧野 憲伸が初戦の北照戦で公式戦初完投勝利を挙げた。課題だった2年生投手の育成という目的を果たしての全道2勝は、夏に向けてのチームにとって大きな財産になった。
主将で4番の橋本は、ポイントゲッターとして期待される打撃に力を注ぐため、三塁での出場が多かったが、この夏の十勝支部代表決定戦では先発して池田を7回0封した。今春の支部初戦以来の公式戦登板にも慌てることなく、テンポの良い投球で打線の援護も引き出した。4勝するために、橋本をどこで投手起用するのか、采配に注目したい。いずれにしても、投打ともに橋本がキーマンであることは間違いない。
白樺学園と同じ左ブロックでは、北北海道大会初出場のクラーク記念国際が面白い存在だ。駒大岩見沢で指揮を執っていた佐々木 啓司監督の下、今春創部3年目で初の全道大会出場を果たした。2季連続の支部予選突破の立役者は、右横手から球威のあるボールの投げ込む背番号6の平沢津 虎揮(3年)。2試合に先発して、安定感抜群の投球を見せた。プロ注目の二刀流男・陣 翔大(3年)を擁する旭川実、支部予選2試合で63打数30安打と強打を誇る遠軽(関連記事)も力がある。
右ブロックは混戦模様。注目は、150キロ左腕の古谷 優人(3年)擁する江陵だ。十勝支部予選には金の卵を見るために、プロのスカウト11球団36人が集結した。優勝するには5勝しなければならないだけに、初の甲子園切符は、打線が古谷をどれだけ援護できるかにかかっている。5季連続で旭川支部予選を突破した旭川西も強力打線で頂点をうかがう。
(文・石川 加奈子)
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