連続本塁打を含む9本の長打で八王子実践が圧倒

 今にも降り出しそうな空、予報も芳しくないがそんな雨空を吹き飛ばすかのような点の取り合いとなった。もっとも、落ち着かないといえば、いささか落ち着かない試合でもあったのだが…。

 初回はまず都立杉並が一死から2番久木元君と3番内海君の連打でチャンスを作ると小野澤君の右中間二塁打で2者が帰って先制。しかし、その裏すぐに八王子実践も二死一塁から4番中坪君、5番山本 勝利君の連続二塁打などで同点とした。

 そして2回には八王子実践は死球の走者を1番齋藤優君の左翼線二塁打で帰してリードを奪った。しかし、都立杉並もすぐに反撃して3回に内野安打で出た恩田君がバントと盗塁で進み暴投で帰って同点。試合はめまぐるしく動いていく展開となった。

 その裏の八王子実践は4番中坪君が安打で出ると山本勝利君の中越二塁打で二三塁として、小林君の中犠飛で再びリード。しかし、その後を都立杉並の岸君が踏ん張ってあわや大量失点となるところを踏みこたえた。

 それでも八王子実践の攻撃は執拗だった。5回には山本 勝利君がこの日に自身三本目の二塁打で出ると、小林君のポテン安打で一三塁。ここで盗塁を試みて送球がそれる間に三走が生還。なおも一死三塁で西澤君がセーフティスクイズを決めてこの回2点。6回にも井手君、中本君の短長打でさらに八王子実践が加点した。

 やや点差が開いたが都立杉並も7回に一死一三塁から久木元君の中越二塁打などで2点を返して追い上げた。

 ところがその裏、八王子実践は西澤君、加藤君と8番9番の下位打線がいずれも初球をとらえて左翼への連続本塁打で再びリードを広げた。さらに、八王子実践は8回にも二番手矢部君に襲いかかって3点を追加して結果的にはコールドゲームとした。

 都立杉並としては、取って取られてという展開ながらも、何とかコールドゲームは逃れたいという思いではあったであろうが、最後は力負けというところだろうか。それでも、大会を前に監督が交代するという不測の事態などもあったが、4人しかいない3年生を中心として、よく戦えたのではないだろうか。

 八王子実践は永井君から加藤君への継投もスムーズで、その加藤君が本塁打を放つというおまけまでついた。打線は、7二塁打を含めて連続本塁打など9本の長打も出た。西田 満監督としてもほぼ思惑通りというか、それ以上の戦いとなったのではないだろうか。

(文=手束 仁)

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