先日の「参院選2016」から満18歳以上に引き下げられた選挙権年齢。今年6月19日に公職選挙法が改正されるまでは、ご存知のとおり「日本国民の選挙権年齢は満20歳以上」でした。では、その前のもっと昔の選挙は、どのうようなスタイルで行われていたのでしょう。今回は、あらためて「選挙の歴史」を振り返ってみます。


11票で当選!? 「初めての選挙」仰天エピソード！



日本で生まれ、ある一定の年齢になればどんな人でも得ることができる「選挙権」。
ですが、ほんの少し前までは、この当たり前の権利が私たち庶民にはありませんでした。
政治は、ほんのひと握りの人間が行うもの。
そんな体制が変えられていったのは、教科書に載っているとおり、明治時代からです。

板垣退助をトップに起こった「自由民権運動」。
明治維新によって新しい時代がスタートし、それによって偏っていた政治を、「国民のもの」にしていく第一歩となった運動です。
この自由民権運動によって内閣ができ、憲法が作られ、そして明治23年には初めての「選挙」が行われました。

ですが、この初めての選挙、投票権を与えられたのは、ほんのわずかな人間のみ。
条件は、満25歳以上の成人男子、その中でも税金15円以上を1年以上納めているもの。
これは国民全体の1.1％に過ぎませんでした。
さらに投票をするそのときは、立会人や警官が見守り、投票用紙には自分の名前や住所まで記入しなければならなかったのです。

こうした一部の国民だけが投票できる選挙ですので、当然立候補者の票数も今よりずっと少ないものになります。
大都市であった東京でも、少ない区では68票で当選してしまいました。
そしてなんと、明治25年の選挙ではたった11票で当選してしまった議員も。
これではとても公正な選挙とは言えませんね。

この体制を再度変えようと行われたのが「普選運動」。
選挙権拡張を訴える声は、初めての選挙が行われてからすぐに挙がりましたが、実現されたのは大正14年のこと。かなり時間がかかりました。
そしてもちろん、この時点での選挙権は「満25歳以上の成人男子」。
女性が選挙権を得るまでは、なんとさらに20年の月日がかかることになるのです。

今回、年齢枠が広がり、歴史がまたひとつ変わりました。
先人たちが声を挙げ、平等に得ることが可能になった選挙権。
未来を変えられる権利を、私たちは手にしています。

文／岡本清香

TOKYO FM「シンクロのシティ」にて毎日お送りしているコーナー「トウキョウハナコマチ」。江戸から現代まで、東京の土地の歴史にまつわる数々のエピソードをご紹介しています。今回の読み物は「11票で当選!? 明治時代の選挙」として、7月11日に放送しました。

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