流れに乗る能代、復活を目指す明桜か?この夏、注目の公立校は?【秋田抽選会後 展望】

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 大会ごとに上位が入れ替わる秋田県。この夏、たった1つの甲子園切符を掴みとるのはどこか。47校が競う。

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夏優勝へ向けて気合が入る能代 PL学園OBが監督を務める明桜も注目

東内 凜(明桜)

 能代は昨秋の県大会で準優勝、今春の県大会で優勝し、24年ぶりの甲子園出場に弾みがついている。昨秋、投手に転向したばかりのエース・大塚 聖那は140キロ超えの直球を放る馬力がある右腕。ショートの細田 祐次朗を中心に守備力もあり、攻撃もそつがない。小林 敬介が今春の県大会決勝で2本塁打を放っている。92年の甲子園出場時は春の県大会で優勝しており、今回の春制覇は吉兆だ。

 優勝候補の能代のブロックは激戦だ。能代と同じく夏4度の甲子園出場がある本荘、昨夏の代表・秋田商、昨秋8強の由利工、攻撃力の高い秋田工などが入った。

 秋田商は昨夏の甲子園で8強入りしたが、現チームは昨秋、今春ともに地区予選敗退。昨年からレギュラーの選手が半分ほど残るチームだったが、結果は残せなかった。それでも、台頭してきた投手もおり、夏本番に向けてチーム力は向上。現チームでの公式戦経験は乏しく厳しいブロックではあるが、夏に強さをみせる伝統があるだけに楽しみだ。

 第2シードの明桜は近年、低迷気味だったが、この春、県大会で準優勝。東北大会では2回戦の東海大山形戦で18対12の乱打戦を制し、ベスト8入りした。勝ち進むにつれ失点が多く、投手陣に不安はある。それでも、エース・阪田 悠悟は地区予選から県大会準々決勝まで無失点投球を見せている。攻撃力はあるだけにいかに失点を抑えられるかがポイントになりそうだ。

 ここ数年、監督がコロコロ変わり、落ち着かない印象があったが、今回も春の東北大会直後に交代。東北大会まで監督を務めていた阪川 英次氏は上席コーチ、部長だった西野 新太郎氏が監督に配置転換された。西野新監督はPL学園出身で1999年のセンバツ大会に出場している。

 このブロックには能代松陽がいる。以前の能代商で統合により校名が変更。10、11年と連続で甲子園に出場するなど、能代商時代に3度の甲子園出場がある。11年には秋田県勢の初戦13連敗を止めて2勝を挙げている。昨秋は3位で東北大会に出場したが、今春は故障者が続出。万全では戦えず、8強止まりだった。戦力が整うであろう夏は5年ぶりの聖地を狙う。

 14年夏の甲子園に春夏通じて初出場した角館もこのブロック。2年前、1年生ながら6番・サードで全国舞台を経験したのが小木田 敦也だ。昨年からエースナンバーを背負い、秋は県南地区大会で2試合連続完封。県大会では初戦で能代松陽に敗れたものの、最速146キロをマークするなど、県内屈指の右腕だ。今春は県南地区大会で15年ぶりのV。県大会では初戦では大曲工に敗れたが、投打に柱であることには間違いない。

 その他、このブロックには、二ツ井・小坂と雄勝・矢島と2つの連合チームが入った。また、近年、好成績を残す秋田南もいる。

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鈴木 理公(大曲工)

 第3シードの秋田中央。今春の県大会は準決勝で能代に4対5と惜敗。3位決定戦では大曲工に敗れたが、攻守に総合力が高い。特に攻撃は昨年からクリーンナップを打つ小野 魁晟、石垣 克貴、古谷 司に期待がかかる。秋田で選手、監督として甲子園を経験している佐藤 幸彦監督が4月に就任。短い期間ではあるが、新監督のもと、練習してきた成果を発揮して頂点を狙う。

 第6シードの横手のエース・貴俵 健は185センチ、86キロのどっしりした体格から角度ある直球を決める2年生。昨夏は1年生ながら初戦に先発し、1安打投球。この夏はどんな投球を見せるか。

 昨年のセンバツ大会に初出場。まだ夏の甲子園出場がない大曲工が第4シードだ。昨秋の県大会は初戦で敗退し、今春も地区の第6代表で県大会へ。苦しい状況だったが、県大会では3位で東北大会出場を勝ち取った。3年生の鈴木 理公と2年生の藤井 黎來が競い合う投手陣に、佐藤 泰輝、浅利 賢宏、石井 裕也、守沢 康陽ら野手が攻守にもり立てる。

 11年のセンバツ大会に21世紀枠で出場した大館鳳鳴。今年は秋田NO.1左腕・佐藤 宏樹を擁する。178センチのスラリとした体格で、141キロに迫る直球にキレのあるスライダーのコンビネーションが抜群の佐藤。昨秋は地区予選で延長試合2試合を含む、3試合で完投。県大会では2試合連続で完封した。今春は県大会準々決勝で11三振を奪いながらも0対1で大曲工に敗戦。打線の援護がカギを握りそうだ。

 このブロックには春の雪辱を誓うチームが並ぶ。昨秋の県大会で優勝している秋田は今春、地区予選で敗れ、県大会を戦えなかった。それでも、地力は十分。主将でエースの金沢 龍介は140キロ超の右腕。昨秋は3試合連続完投で東北大会に導いた。昨秋の県南地区大会で優勝している横手清陵も今春は県大会出場ならず。夏に懸ける思いは強いだろう。

 大館桂桜は、大館、大館工、女子校の大館桂が統合してこの春開校。大館と大館工でプレーしていた選手たちが1つのチームとなって、初めての夏を戦う。

(文・高橋 昌江)

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