平ダメ押しの2ランスクイズ、筑波大附コールド発進

  学校創立は1872年。しかも東京高等師範付時代に、戦後復活最初の全国大会に出場した筑波大附と、学校創立1912年の都立都立鷺宮という、ともに歴史のある学校同士の対戦。

 筑波大附の先発はエースの影山舜。筆者は秋季大会の1次予選の都立足立新田戦も観ているが、この時は制球が甘く、2回で8失点して降板している。この日の影山は、秋とは別人のように丁寧にコーナーを突く投球で、都立鷺宮打線を封じる。

 都立鷺宮のエース・森田祥平もサイド気味のフォームから丁寧な投球をしていたが、2回裏落とし穴が待っていた。この回あっさり二死になったものの、そこから筑波大附は7番影山が左前安打、8番羽田優太は二失を誘い、9番綱嶋大峰が四球で満塁。1番宮部浩人はファールで粘り8球目を叩くと、打球は左中間を破る走者一掃の三塁打になった。さらに2番平龍之介の中前安打で宮部も生還した。

 それでも都立鷺宮は3回表、8番金子敬大の投前バントを、筑波大附の影山の一塁送球が暴投になり、金子は二塁へ。2番田中優磨が三塁の横を破る二塁打で金子を還した。

 ここまではまだ都立鷺宮にもチャンスがあったが、4回裏、勝負をほぼ決する2点が入る。この回8番羽田の左前安打、9番綱嶋のバントは相手のエラーを誘い、無死一、二塁。1番宮部は送り一死二、三塁とし、2番平はスクイズ。一塁に送球される間に、羽田に続き、二塁走者の綱嶋も迷わず三塁を回り、本塁を陥れるツーランスクイズとなった。二塁走者・綱嶋の思いっきりの良さが光る走塁であった。

 5点リード受け、影山の投球も安定する。都立鷺宮は5回裏森田に代わり遠藤秀夫が登板して反撃の機会をうかがったが、8回裏、宮部の二塁打に続き、平も二塁打を放ち1点。さらに平が三盗すると、捕手が送球ミスをする間に平が生還し、コールドゲームが成立した。

 両校の実力は、コールドになるほど差があったとは思えない。しかし走者を溜めての1球の怖さを、改めて認識させる試合であった。それでも、失策が4個あったものの、三塁手の花嶋大輝や遊撃手の田中らが、ボールに飛びついて好捕する、ハツラツとしたプレーは印象に残った。

 一方筑波大附は、秋よりも明らかに成長した姿をみせた。次の立正大立正も力のあるチームだが、自分たちの野球を思う存分やってほしいものだ。

(文=大島 裕史)

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