「本好きな子」になるだけじゃない! 読み聞かせが持つ隠れた教育効果

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子育て中の母親であれば、一度は耳にしたことがあるであろう「子供に読み聞かせを!」というキャッチフレーズ。

たしかに読み聞かせによって幼い頃から本に親しむことで、その子が将来、読書好きになるという話は頷ける。

しかし、『七田式 子どもの才能は親の口グセで引き出せる!』(青春出版社刊)の著者、七田厚さんによれば、読者が持つ教育的効果は「それだけ」ではないという。

――七田式では、具体的にどのようなレッスンを行なうのでしょうか。

七田:七田式には「ちえ、もじ、かず」というジャンルがあって、昔でいうところの「読み書きそろばん」を訓練するためのレッスンを用意しています。

「もじ」の例でいえば、「暗唱文集」なるものを用意しています。この文集には、詩や漢詩、論語、古典文学や現代文学の冒頭文などが収められており、まずはその朗読から行ないます。レッスンでもやりますが、家でも毎日復習してもらいます。

漢詩などは取っつきづらいイメージがあるかもしれませんが、「国破れて山河在り」のようにリズミカルなものであれば、意味は分からずとも、子供はすんなり暗唱します。

――たしかに、「意味抜きで覚える」という作業は、大人よりもむしろ子どものほうが得意なように感じます。

七田: その通りです。インタビューの前半でも少し触れましたが、七田式では「イメージ力」と「記憶力」の向上を重視します。そして、これらの能力を伸ばすなら、幼ければ幼いほどいいという実感がありますね。

――幼いうちに記憶の能力を高めておくと、子供にとっては具体的にどのようなメリットがあるのでしょうか。

七田:それはもう、物事を記憶するのに要する時間が圧倒的に短くなることですね。まわりの子が受験勉強に3、4時間ほど使っていたとします。でも、七田式によってイメージ力や記憶力を鍛えた子なら1時間で済む。それほど物事を暗記するスピードに違いが出ます。

つまり、まわりの子が勉強している間に、七田式で学んだ子は、テレビを見たり、好きな本を読んだり、スポーツをしたりと、勉強以外のことに時間を費やせるようになる。これがメリットですね。

――なるほど。そういう意味では、「効率よく自学して、学校の勉強をどんどん先取りする」ことを目指しているわけではないのですね。

七田:その通りです。暗記そのものに時間を多く使わなくて済むからこそ、子供たちには学校の時間は学校の時間で有意義に使ってもらいたいですし、趣味の時間も作ってほしいと考えています。

――ところで本書では、親から子へのちょっとした言葉がけの重要性についても触れられていますが、これもイメージの話に関わってくるのでしょうか。

七田: はい、関わってきます。本書でも書いたことですが、「パパのところまで、コップの水をこぼさずに持っていってね」と言われた子供は「コップの水をこぼす」という否定語に引っ張られ、「コップの水をこぼしている自分」をイメージしてしまいます。

逆に、「**ちゃんなら、パパのところまでコップの水をこぼさずに持っていけるよ」と語りかけられた子供は「上手に運んでいる自分」をイメージできる。言葉がイメージに与える影響はそれだけ大きいということです。

よって子供の自己肯定感を育てたいなら、たとえ謙遜であっても、親は子供のいるところで「うちの子なんて全然よ」といったような、否定的な言葉は使わないほうがいいでしょう。

――そのように、ちょっとした言葉にも気を配るためにも、前提として親が大切にすべきことは何でしょうか。

七田: 子供が「自分は愛される価値のある人間なんだ」と思えるよう、親が子に対して充分な愛情表現をすることが重要だと思います。

――その愛情表現の一つとして、読み聞かせが有効ということでしょうか。

七田: はい、有効です。読み聞かせを習慣化することで、子供が本好きになるという効能以上に、愛情表現のツールとして重要ですね。

――それはなぜですか?

七田:読み聞かせは片手間ではできないもの。だからこそ、子供にとっては「自分のためだけに、読んでくれている」と、親の愛情を確認できるのです。子供にとっては、読み聞かせの時間は親を独占できるうれしい時間になる。親子の一体感を育む意味でも、1日10分で構わないので、親御さんには読み聞かせの時間をとっていただきたいですね。

――最後になりますが、読者の皆様へメッセージをお願いします。

七田: 子供の心が愛情で満たされれば、才能を開花させる準備は整ったということ。本書ではスキンシップについても言及しましたが、親御さんには是非、色々な形でお子さんへ愛情表現をしていただきたいですね。
(新刊JP編集部)