「速読に必要なのはイメージ力」読書の速度が3倍になる方法とは
毎日読む新聞やネットのニュース記事、あるいは仕事のメールが、普段の3倍の速度で読めたらどうだろう。インプットの時間は減り、その分物事を深く考えたり、リフレッシュをしたり、休息に充てられる時間は増えるはずだ。そして、それは難しいことではない。
特別な才能がなくても、文章を読むスピードは劇的に早くなる。その秘訣を『頭の回転が3倍速くなる! 速読トレーニング』(総合法令出版刊)の著者で、速読日本一になった経験を持つ角田和将さんに聞いた。
■文章を「ブロック」で見ることが速読につながる
――『頭の回転が3倍速くなる! 速読トレーニング』についてお話をうかがえればと思います。前作『1日が27時間になる! 速読ドリル』に続いて速読の「トレーニング」についての本になりますが、前作から改良されたポイントなどがありましたら教えていただければと思います。
角田:私が教えている速読の基本的な考え方は、「視野を幅広くとって、そのまま高速で動かしていく」というものです。ですから、それができるのであれば、トレーニングの方法は本を読む以外にも色々あります。前作ではこのことをお伝えしたくて、ドリル形式で速読のトレーニングになる問題を紹介したのですが、全部解いてしまったのでもっと他の問題を、という要望がすごく多かったんです。
今回の本も、速読についての基本的な考え方は変わっていませんが、こういうこともトレーニングになるんですよ、ということで前作とは違う種類の問題を入れるようにしました。
――角田さんが速読の本を出されるのは3冊目です。ご自身の速読についての考え方ですとかトレーニング方法が広がってきたという感覚はお持ちですか?
角田:読者の方から、僕の本で読んだ速読法を実践しただけでかなり速くなったということはよく聞きますし、おかげさまで本もかなり売れたので、広がってきているとは思います。
――先ほどおっしゃったように、角田さんが提唱している速読の方法は、文字を5文字、7文字、10文字といったブロックで「イメージ」として捉え、それを高速で見ていくというものです。このためのトレーニングによって、読むのが速くなるだけでなく、頭の回転にもいい影響を与えると書かれていましたが、この理由はどんなところにあるのでしょうか。
角田:高速で文字も見ていくということをやっていると、その速度に脳が徐々に慣れてきます。文字を見る速度に脳が適応しはじめて、見た文字を脳が理解する速度が追いついてくるんです。僕は「脳の可塑性」と言っているのですが、これを続けているうちに、脳の情報処理能力が上がっていきます。
■書店で本を探すことも速読のトレーニングになる
――トレーニングの内容が前作より充実しているように思いました。ただ、4章の「イメージトレーニング」などは、一見速読とはあまり関係がないように思えるのですが、速読にまつわるどんな能力が鍛えられるのでしょうか。
角田:速読を身につけるには、文章を一文字ずつなぞり読んでいくのではなく、文章を見た時に瞬間的にイメージとして認識する力が必要です。
イメージする力というのは、脳の部位でいうと右脳がつかさどっているのですが、4章のイメージトレーニングをすることで、その力を引き出して、目に入った文章をイメージで認識する能力を高めることができます。
――5章の「認識トレーニング」は一列の中に、指定された文字があるかどうかを瞬間的に探していくトレーニングですが、視野を広げるのに非常に有効だと思いました。これは前作にはなかったトレーニングですよね。
角田:そうですね。一列の中をひとつひとつ探してしまうと時間が足りなくなってしまうので、列全体を一度に視野にいれないといけません。
このトレーニングはやや難しめなので、前作には入れなかったんですよ。今回の方が全体的に難易度は高いと思います。
――視野を広げていくために日常的にできるトレーニングはありますか?
角田:これは結局、トレーニングとして何をするかということよりも、意識するかどうかなんですよね。「視野を広げる」ということを難しく考えてしまう方が多いのですが、「幅広く見る」ことを常日頃から心がけていれば、徐々に視野は広がっていくはずです。
今の自分の視野が7文字分だったとして、次は9文字一度に見られるように心がけるのとそうでないのではその後の伸び方はやはり違ってきます。
――本書の中でも書かれていましたが、書店で本を探すというのはいいトレーニングだと思いました。棚の本を一冊ずつ見ていくのではなく、棚全体を視野に収めて探すというのは、角田さんの速読法と重なります。
角田:これは僕自身、周りの人に言われて気づいたんですよね。一緒に書店に行った人が言うには、僕は書店の棚から探している本を見つけるのがすごく速いのだそうです。
意識はしていなかったのですが、そう言われて考えてみると、確かに棚全体を一度に視界に入れて探していました。
――視野を広げるにあたって、目と本や書類との距離も関係するのでしょうか。ある程度距離をとった方が視野は広くとれます。
角田:目と本の距離が近いほど視野を広く取るのは難しくなるので、トレーニングの意味では近づけてみるのがいいと思います。実生活で素早く本を読みたい時は、ある程度距離を保った方が見やすくはなるでしょうね。ただ、視力の問題もありますから、一概に距離をとればいいともいえません。
たとえば、電子書籍だと文字の大きさを自分の好みに合わせて変えることができますが、小さくすればするほど、視野に入れられる文字の数は多くなる一方で、やはり見えづらくもなりますから、速読を覚えるうえでは障害になる「なぞり読み」になりやすいんです
(後編に続く)
特別な才能がなくても、文章を読むスピードは劇的に早くなる。その秘訣を『頭の回転が3倍速くなる! 速読トレーニング』(総合法令出版刊)の著者で、速読日本一になった経験を持つ角田和将さんに聞いた。
――『頭の回転が3倍速くなる! 速読トレーニング』についてお話をうかがえればと思います。前作『1日が27時間になる! 速読ドリル』に続いて速読の「トレーニング」についての本になりますが、前作から改良されたポイントなどがありましたら教えていただければと思います。
角田:私が教えている速読の基本的な考え方は、「視野を幅広くとって、そのまま高速で動かしていく」というものです。ですから、それができるのであれば、トレーニングの方法は本を読む以外にも色々あります。前作ではこのことをお伝えしたくて、ドリル形式で速読のトレーニングになる問題を紹介したのですが、全部解いてしまったのでもっと他の問題を、という要望がすごく多かったんです。
今回の本も、速読についての基本的な考え方は変わっていませんが、こういうこともトレーニングになるんですよ、ということで前作とは違う種類の問題を入れるようにしました。
――角田さんが速読の本を出されるのは3冊目です。ご自身の速読についての考え方ですとかトレーニング方法が広がってきたという感覚はお持ちですか?
角田:読者の方から、僕の本で読んだ速読法を実践しただけでかなり速くなったということはよく聞きますし、おかげさまで本もかなり売れたので、広がってきているとは思います。
――先ほどおっしゃったように、角田さんが提唱している速読の方法は、文字を5文字、7文字、10文字といったブロックで「イメージ」として捉え、それを高速で見ていくというものです。このためのトレーニングによって、読むのが速くなるだけでなく、頭の回転にもいい影響を与えると書かれていましたが、この理由はどんなところにあるのでしょうか。
角田:高速で文字も見ていくということをやっていると、その速度に脳が徐々に慣れてきます。文字を見る速度に脳が適応しはじめて、見た文字を脳が理解する速度が追いついてくるんです。僕は「脳の可塑性」と言っているのですが、これを続けているうちに、脳の情報処理能力が上がっていきます。
■書店で本を探すことも速読のトレーニングになる
――トレーニングの内容が前作より充実しているように思いました。ただ、4章の「イメージトレーニング」などは、一見速読とはあまり関係がないように思えるのですが、速読にまつわるどんな能力が鍛えられるのでしょうか。
角田:速読を身につけるには、文章を一文字ずつなぞり読んでいくのではなく、文章を見た時に瞬間的にイメージとして認識する力が必要です。
イメージする力というのは、脳の部位でいうと右脳がつかさどっているのですが、4章のイメージトレーニングをすることで、その力を引き出して、目に入った文章をイメージで認識する能力を高めることができます。
――5章の「認識トレーニング」は一列の中に、指定された文字があるかどうかを瞬間的に探していくトレーニングですが、視野を広げるのに非常に有効だと思いました。これは前作にはなかったトレーニングですよね。
角田:そうですね。一列の中をひとつひとつ探してしまうと時間が足りなくなってしまうので、列全体を一度に視野にいれないといけません。
このトレーニングはやや難しめなので、前作には入れなかったんですよ。今回の方が全体的に難易度は高いと思います。
――視野を広げていくために日常的にできるトレーニングはありますか?
角田:これは結局、トレーニングとして何をするかということよりも、意識するかどうかなんですよね。「視野を広げる」ということを難しく考えてしまう方が多いのですが、「幅広く見る」ことを常日頃から心がけていれば、徐々に視野は広がっていくはずです。
今の自分の視野が7文字分だったとして、次は9文字一度に見られるように心がけるのとそうでないのではその後の伸び方はやはり違ってきます。
――本書の中でも書かれていましたが、書店で本を探すというのはいいトレーニングだと思いました。棚の本を一冊ずつ見ていくのではなく、棚全体を視野に収めて探すというのは、角田さんの速読法と重なります。
角田:これは僕自身、周りの人に言われて気づいたんですよね。一緒に書店に行った人が言うには、僕は書店の棚から探している本を見つけるのがすごく速いのだそうです。
意識はしていなかったのですが、そう言われて考えてみると、確かに棚全体を一度に視界に入れて探していました。
――視野を広げるにあたって、目と本や書類との距離も関係するのでしょうか。ある程度距離をとった方が視野は広くとれます。
角田:目と本の距離が近いほど視野を広く取るのは難しくなるので、トレーニングの意味では近づけてみるのがいいと思います。実生活で素早く本を読みたい時は、ある程度距離を保った方が見やすくはなるでしょうね。ただ、視力の問題もありますから、一概に距離をとればいいともいえません。
たとえば、電子書籍だと文字の大きさを自分の好みに合わせて変えることができますが、小さくすればするほど、視野に入れられる文字の数は多くなる一方で、やはり見えづらくもなりますから、速読を覚えるうえでは障害になる「なぞり読み」になりやすいんです
(後編に続く)