CDやDVDはもちろん、クルマや衣装など、いろいろな場面で便利なのがレンタル。一時的にしか使わないものは経済的にもレンタルのほうがお得ですし、日常でもレンタルが普通のこととして組み込まれています。最近は、恋人や家族、相談相手といった「人」をレンタルできるサービスもあるようですが、江戸時代では、今では考えにくい驚きのこんなものもレンタルされていたようです。


江戸っ子の人気レンタルNo1は?



必要なときだけ借りて、終われば返すことのできるレンタルショップ。
買うよりも経済的で、部屋でかさばることもなく、とても便利なシステムです。
このレンタルというシステム、実は現代だけじゃなく、江戸時代から存在していたというから驚きです。

江戸のレンタル店は「損料屋(そんりょうや)」と呼ばれていました。
蚊帳や炬燵(こたつ)などの季節品はその時期しか使わないため、レンタルとして貸し出されていたようです。
その他、鍋・釜・布団などの日用品、さらには衣服や手ぬぐいなどの貸し出しも。
風呂や井戸もレンタルされていました。

そんなレンタル業の中、一番儲かっていたのは、なんと「ふんどし」。
実は、江戸時代の庶民たちは、ふんどしをいつも着けていたわけではありません。
ほとんどの日を「ノーパン」で過ごしていたのです。
決して裕福ではなかった庶民たちは、ふんどしに使うお金をなかなか持てなかったそう。

でも、どうしてもふんどしが必要な日もあります。
それは「勝負の日」……つまり、吉原に遊びに行くときです。
もし遊女たちにふんどし無しの姿を見られたら、「お金がない、貧乏人」と笑われてしまいます。

吉原に行きたい、でもお金はない……そんな中で活躍するのが「ふんどしレンタル」。
買うよりは安いお金で、手に入れることができるわけです。
ふんどしを買うお金はないのに、遊女と遊ぶお金はあるというのがちょっと不可解ですね。

もちろん、吉原に行くときだけではありません。
江戸っ子にとって、ふんどしはひとつのステータス。
花見やお祭り、喧嘩の時にはふんどしを見せるのが粋だったため、その度にふんどしレンタルは繁盛したと言います。

お金はないけど、見栄は張りたい。
そんな江戸っ子心を上手く利用した見事な商売です。

文/岡本清香

◆TOKYO FM「シンクロのシティ」にて毎日お送りしているコーナー「トウキョウハナコマチ」。江戸から現代まで、東京の土地の歴史にまつわる数々のエピソードをご紹介しています。今回の読み物は「江戸レンタル事情」として2011年10月13日に放送した内容を再構成したものです。

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