厚生労働省の発表によると、昨年2015年に生まれた日本人の赤ちゃんは100万8000人で、5年ぶりに増加したそうです。出産はいつの時代も大変ですが、今よりもっと前の江戸時代では、出産に関する知識は今とは全く違うもので、子どもを産むことは、まさに命がけでした。そんななか、出産において欠かせない人物がいます。そう「産婆」。現代で言う助産師さんです。今回は江戸時代のお産婆さんのお話です。


江戸時代の「お産婆さん」は破天荒すぎた!?



赤ちゃんを出産するときに、なくてはならない助産師さん。
人間のお産は命がけであり、出産に関しての知識が深まった現代でさえ、助産師さんやお医者さんがしっかりサポートしないと危険な場合があります。
江戸時代ではなおのことでした。

「お産婆」という言葉は今もありますが、江戸時代中期までは「取り上げ婆(ばあ)」という名前で呼ばれていました。
当時は資格制度などはないので、こうした職業に就くときに必要なのは「経験」のみ。
長屋で何度も出産に立ち会ったとか、赤ちゃんを取り上げたという経験を積み上げ、「自分は産婆である」と言うようになっていくのです。
そのため、ほとんどは中年以上の女性。
だから「婆(ばあ)」という文字が付くのですね。

自らが「産婆である」と言えばいいだけなので、妊婦さんは正しい知識で産婆選びをすることが必要でした。
なかにはとんでもない産婆さんもいたそうで、元禄時代に出版された「婦人寿草」という本の中には、こんなことも書かれています。
「産婆の多くはよく酒を飲み、性格も剛胆(ごうたん)である。酒臭い息が産婦にかかり、その息を嫌う産婦も多い」
出産のときにお酒を飲んで介助されるのはカンベンですね。

ほかにも、年を取りすぎていると出産が長引いてしまったときに寝てしまうなど、産婆選びには注意点がいろいろ。
この本によると、良い産婆さんは「ベテランでありながら穏やかで強情を張らず、物事に動じない人が良い」と書かれています。

選ぶのは大変でも、一度良い産婆さんに出会えば、出産だけでなく産後のケアや育児など、いつでも相談できる親子のような関係になれたとか。
その場だけの関係ではない大事な相手を選ぶのですから、慎重になるのもわかりますね。

文/岡本清香

TOKYO FM「シンクロのシティ」にて毎日お送りしているコーナー「トウキョウハナコマチ」。江戸から現代まで、東京の土地の歴史にまつわる数々のエピソードをご紹介しています。今回の読み物は「お産婆さんの役割は?」として、4月5日に放送しました。

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