100年前の人たちにとって商業施設といえば、なんといっても百貨店! 三越をはじめ、いろいろ老舗の百貨店はありますが、今回はさまざまなことに関して先陣を切って文明開化に尽力した「松坂屋」に焦点を当ててみたいと思います。


※写真はイメージです



明治時代、文明開化の象徴だった百貨店。
「今日は帝劇 明日は三越」などのキャッチコピーも流行し、百貨店はその当時の最先端を知るに欠かせない存在でした。

三越が新しい呉服店の形を宣言した「デパートメントストア宣言」を皮切りに、東京では銀座を中心に西洋風の百貨店が並ぶことになります。
松屋、高島屋、大丸、松坂屋。
どこも格式の高い老舗ですが、「日本で初めて○○をした百貨店」として名高いのは松坂屋かもしれません。

松坂屋は、百貨店の中でも先陣を切って新しいことを導入しました。
まず、それまで百貨店には「呉服店」とついているのが当たり前でしたが、松坂屋は真っ先にそれを外しました。
商品内容の発展が進み、「呉服店」という名前がふさわしくなくなったからです。

店員に「制服」を導入したのも松坂屋が初めて。
縞模様の木綿という和服スタイルですが、大変評判が良かったそう。
今ではデパートのスタッフは制服が普通ですが、初めては松坂屋だったのですね。

次に導入したのが「土足入場」。
当たり前のことのように感じますが、当時は画期的なことでした。
日本人はお店に入るときも、当然のように靴を脱いでいたからです。
ほかの百貨店では「下足預かり」という形で、入り口で靴を預かってくれました。
お客を土足のままお店に入れるというのは大変な決断だったそうですが、気軽に立ち寄れるということで百貨店が大衆に受け入れられる大きなきっかけになったそう。

最後にもうひとつ。
エレベーターガールの導入も、松坂屋が最初です。
当時の名前は「昇降機ガール」。
昇降機とはエレベーターのこと。
新しい婦人職業は、女性の社会進出の一歩として期待されました。

あらゆることを先駆け、そしてそのほとんどが今の基礎を作っている松坂屋。
数百年の歴史は、ダテじゃありません。

文/岡本清香

TOKYO FM「シンクロのシティ」にて毎日お送りしているコーナー「トウキョウハナコマチ」。江戸から現代まで、東京の土地の歴史にまつわる数々のエピソードをご紹介しています。今回の読み物は「松坂屋ことはじめ」として、4月4日に放送しました。

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