芥川、太宰、夏目漱石……数々の名作を生み出した明治大正の文豪たち。数えきれないほどの名作の中には、「奇書」……つまり、文学の世界では異端とされるものもあります。今回は、「日本三大奇書」と呼ばれる本をご紹介します。

たまには変わったジャンルの本はいかがでしょうか



1冊目は夢野久作の「ドグラ・マグラ」。
「日本三大奇書」の中では最もポピュラーで、映画化もされています。
……が、内容は、3冊の中でも一番ハードで、「読んだら精神に異常をきたす」と言う人もいるほど……。
精神病棟の独房に閉じ込められた記憶喪失の主人公が、事件の真犯人を明らかにしていくという推理小説なのですが、言葉や構成、小説を包み込む雰囲気全てが難解で奇妙。
一度読み終わったらもう元の自分には戻れない、そんな衝撃が待っています。

2冊目は、小栗虫太郎の「黒死館殺人事件」。
探偵が殺人事件を解決するという典型的なミステリーに見えるのですが、「最初の2行でほとんどの人が挫折する」と言われるほどに難解。
「何度読んでもあらすじがわからない」とも言われ、もはや読者は犯人が誰なのかはどうでもよくなってしまうとか。
マニアにはたまらないらしいので、一度チャレンジしてみたいですね。

最後は、中井英夫の「虚無への供物」。
本格的なミステリーでありながら、この本は「アンチミステリー」と呼ばれました。
推理小説のあり方を作品内で否定するような作りの実験的作品。
わかりにくいかもしれませんが、読んでみればなるほど!と思うこと間違いナシ。
文体はそれほど難しくはなく、「面白すぎてほかの本が読めなくなった」という人も。
ほかの2冊よりもおススメしやすい作品です。

いかがでしょうか。読んでみたいもの、ありましたか?
三大奇書。ぜひチャレンジしてみてくださいね。

文/岡本清香

TOKYO FM「シンクロのシティ」にて毎日お送りしているコーナー「トウキョウハナコマチ」。江戸から現代まで、東京の土地の歴史にまつわる数々のエピソードをご紹介しています。今回の読み物は、「読書の秋に、日本三大奇書」として、9月7日に放送しました。

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<番組概要>
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