Facebook投稿、「埋もれさせない」ために必要なこと

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 晴れて個人事業主としての活動をスタートさせ、「何かの取っ掛かりになれば」と思いFacebookに自分の仕事についての投稿をいくつかしてみたものの、反応はほとんどなく、それどころか、久々に再会した友人から「なんか最近、宣伝っぽい投稿ばかりだね……」と言われてしまう始末。
 
 FacebookなどのSNSを使って、「いかにも営業」という印象を与えずに、自分の情報を「未来の顧客」に届けることは簡単ではない。だが、いくつかのポイントを踏まえれば、そのような使い方は充分可能だ。そのポイントを『Facebookを「最強の営業ツール」に変える本』(技術評論社刊) の著者、坂本翔さんにお話をうかがった。

――坂本さんは、「数にこだわりすぎず、『意味のある営業』をする」ためにターゲットを絞り込むことの重要性を説かれています。リアリティのある顧客像をイメージする上で大切なこと、「やってはならないこと」を教えてください。

坂本:リアリティのある顧客像をイメージするためには、自分自身の生活を見つめ直すというのは効果的です。昼夜逆転のような生活をしているなど、よほど変わった生活スタイルでなければ、自分自身を基準にすればいいと思います。昼12時頃にはお腹が空く、夜12時を過ぎると眠たくなるなど、自分自身が感じることは、多くの方も同じように感じていることが多いのです。
また、自分の周囲から仮説を立てることも重要です。例えば、「朝と夕方は電車が混む→電車に乗っている間にできる行動は限られている→本を読むか、寝るか、スマホを見るか→スマホを見るということはFacebookを開いている人も多いはず」などという形です。
「やってはいけないこと」は、本書でもお伝えしているように、「自分都合の投稿」です。例えば、宣伝をしたいからといって、Facebookが宣伝ツール化してしまい、せっかく広告でお金をかけて集めたファンが離れてしまっては意味がありません。

――本書では「投稿すべきタイミング」についても多くのページを割いて解説されています。「Facebookに人が多く集まる時間に投稿すべき」と書かれており、納得できる面はありつつも、その一方で「人が多く集まる時間帯は、それだけライバル会社の投稿数も増え、埋もれてしまう危険性があるのでは?」とも感じました。Facebookの投稿タイミングに関して、坂本さんがこれまでに見てきたなかで、「逆張り」的な発想をすることで功を奏した例はありますか。

坂本:そもそも、誰もが知っている大企業など専門の担当者やコンサルタントがいる企業は例外として、時間などのタイミングを意識してFacebook運用を行なっている企業は多くないと感じています。その理由としては、専任での「Facebook担当者」がいないことが挙げられます。このような状態だと、すぐに効果が見えない性質のFacebookの更新は、どうしても後回しになってしまいます。後回しになってしまえば、継続的かつ適切な投稿が続けられないので、当然Facebookから成果も出ません。これが中小企業のSNS運用の実情です。だからこそ私は、そんな中小企業のFacebook運用をサポートするために活動しているのです。
また本のなかでも詳しく触れましたが、Facebookのニュースフィードの表示順位を決める基準の一つである「エッジランク(親密度×重み×経過時間)」を考慮すると、ファンや友達との普段の交流の中で「親密度」を高く保てていれば、ライバルの投稿に埋もれることなく、優先的にファンや友達に自分の投稿を届けることができます。

――最後になりますが、読者の皆様へメッセージをお願いします。

坂本:本書でご紹介している適切な方法で活用すれば、Facebookで集客を行い、売上につなげていくことは可能です。
実は、Facebookにはもう一つの活用法があります。ビジネスライクな活用法なので、今回の書籍には合わないと判断し、掲載しませんでしたが、せっかくの機会なので、簡単にお伝えしたいと思います。
まず、本書でご紹介している方法を簡潔にまとめると、長期的なスパンで適切な投稿を継続してブランディングを図り、ニーズが顕在化したタイミングに思い出してもらうことで販売につなげていくという方法でした。
この点を踏まえた上で、掲載できなかったもう一つの活用法をご紹介すると、「ウェブサイトを宣伝する種類のFacebook広告」を使い、フロントエンド商品のウェブサイト(Landing Page)を宣伝し、Facebookから直接フロントエンド商品の販売へつなげていく方法があります。この方法は、比較的即効性があるものの、本書でお伝えしている方法と比較すると、LP(Landing Page)制作費やFacebook広告費など、費用がかかるという難点があります。
私自身も、後者の方法でビジネスライクに集客を回しながら、前者の方法で日々ブランディング活動をしているように、この2つの方法はFacebook上で競合するものではなく、むしろ相乗効果があるものなので、本書でご紹介している「Facebook営業」に慣れてきたら、ここでご紹介したもう一つのFacebook活用法にも取り組んでいただければと思います。

(了)