「楽しむ」だけじゃもったいない! 『スター・ウォーズ』に学ぶ人生哲学
思いが通じなかったり、大切な相手から誤解されたりなど、子育てや恋愛、社会での人間関係において、思うようにいかず悩んだことは誰にでもあるのではないだろうか。
「スター・ウォーズの中には、人が生きていく上での真理が描かれている」とまで語るのは、『スターウォーズは悟りの教科書 Star Wars is The Bible of Enlightenment』(ヒカルランド刊)の著者、松本青郎さんだ。
彼は、小学生のときに『スター・ウォーズ』を観て以来、この作品から生きていく上でのヒントを幾度となく学び取ってきたという。日々の些細な選択をするとき、あるいは人生の岐路に立たされたとき、『スター・ウォーズ』は何を教えてくれるのだろうか。
■スカイウォーカー親子の生き様から見えてくること
『スター・ウォーズ』を観たことがない人でも、登場人物のひとり「ダース・ベイダー」がどんなキャラクターなのかについては、見た目も含めて知っている人が多いだろう。
松本さんは本書でダース・ベイダーを引き合いに出しながら『スター・ウォーズ』が「愛とは何か?」という深遠なテーマに対して一つの答えを示してくれると述べている。
『スター・ウォーズ・シリーズ』に馴染みがない人ほど、ダース・ベイダーに対し「悪の象徴」というイメージを強く持っているかもしれない。だが、ダース・ベイダーは「初めから」アンチヒーローだったわけではない。
ダース・ベイダーはかつて、少年時代より類まれなフォース(※)の持ち主として見出され、ジェダイの騎士として活躍するアナキン・スカイウォーカーという名前だった。
「優しさと勇敢さと人並み外れた行動力」をあわせ持つ彼はなぜ暗黒面に堕ち、ダース・ベイダーとなってしまったのだろうか。松本さんは「(アナキンは)愛が強かったからこそ、暗黒面に身を落としてしまった」と分析する。
アナキンはこの作品のなかで、「愛する者への思い入れが激しい」人物として描かれている。彼はあるとき、最愛の母であるシミ・ウォーカーを亡くしてしまう。
彼はフォースの力により母の死を予感していた。だが、「あと一歩」のところで間に合わず、母は彼の腕のなかに抱かれながら息を引きとる。
松本さんの見解では、この母を死の危機から救えなかったという体験は、アナキンにとって「自分に力がなかったために愛する者を救えなかった」という自分を否定する記憶情報になったという。
そんなとき、彼は妻パドメの死を、夢によって予知する。
この夢が原因となり、前述の記憶情報と相まって、「母の時のように、愛する者を絶対失うような力不足の自分ではいけない」という強く自分を責める思いが湧き上がった。
これらの思い込みは、アナキンの中に「何をしてでも、守る力を手に入れなければならない」という暗黒面への誘惑を創り出した。そして「シスの暗黒卿」になれば、人を死の淵からよみがえらせる力を手に入れられると考えたアナキンは、ダークサイドに身を堕としてしまう。
松本さんは、アナキンが愛情深い人物だった結果、ダース・ベイダーになってしまったと解釈しているのだ。
愛や誰かを大切に思う気持ちが判断と思考を狂わせる。自分の身の回りの人間関係について思いを馳せたくなるようなエピソードではないか。
また、松本さんは『スター・ウォーズ』のもうひとりの主人公、ルーク・スカイウォーカーについても考察している。ルークはアナキンの息子であり、父と同じく後にジェダイの騎士として活躍するようになるが、最後まで暗黒面に堕ちることはなかった。
アナキンの血を引き継ぎながらも、アナキンとは異なる選択をしたルーク。アナキンとルークの生き方を対比し、「ルークはなぜ暗黒面に堕ちなかったのか」の分析を通して、その理由とコインの裏表の関係にある「アナキンはなぜ暗黒面に堕してまったのか」の理由がより一層鮮明に浮かび上がってくる。
またそこからは、「愛とは?」というテーマにとどまらず、「家族とは?」「運命とは?」といった問いに対する示唆さえも受け取ることができる。
本書ではアナキンとルークはもちろん、オビ=ワン・ケノービやヨーダ、クワイ=ガン・ジンなど、ファンにとってはお馴染みのキャラクターたちの「名言」も引用し、この作品が描く「真理」に迫ろうとしている意欲作だ。
『スター・ウォーズ』最新作を観て興奮冷めやらぬ人だけでなく、これまで『スター・ウォーズ』シリーズに興味を持ちつつも深く入っていけなかったという人にとっても、この作品の魅力に気づけることはもちろん、生きる上で大切なことを考える機会になるだろう。
(新刊JP編集部)
※シリーズ中に登場する、架空のエネルギー体。ジェダイの騎士たちが用いる超常能力の源となっている。
「スター・ウォーズの中には、人が生きていく上での真理が描かれている」とまで語るのは、『スターウォーズは悟りの教科書 Star Wars is The Bible of Enlightenment』(ヒカルランド刊)の著者、松本青郎さんだ。
彼は、小学生のときに『スター・ウォーズ』を観て以来、この作品から生きていく上でのヒントを幾度となく学び取ってきたという。日々の些細な選択をするとき、あるいは人生の岐路に立たされたとき、『スター・ウォーズ』は何を教えてくれるのだろうか。
『スター・ウォーズ』を観たことがない人でも、登場人物のひとり「ダース・ベイダー」がどんなキャラクターなのかについては、見た目も含めて知っている人が多いだろう。
松本さんは本書でダース・ベイダーを引き合いに出しながら『スター・ウォーズ』が「愛とは何か?」という深遠なテーマに対して一つの答えを示してくれると述べている。
『スター・ウォーズ・シリーズ』に馴染みがない人ほど、ダース・ベイダーに対し「悪の象徴」というイメージを強く持っているかもしれない。だが、ダース・ベイダーは「初めから」アンチヒーローだったわけではない。
ダース・ベイダーはかつて、少年時代より類まれなフォース(※)の持ち主として見出され、ジェダイの騎士として活躍するアナキン・スカイウォーカーという名前だった。
「優しさと勇敢さと人並み外れた行動力」をあわせ持つ彼はなぜ暗黒面に堕ち、ダース・ベイダーとなってしまったのだろうか。松本さんは「(アナキンは)愛が強かったからこそ、暗黒面に身を落としてしまった」と分析する。
アナキンはこの作品のなかで、「愛する者への思い入れが激しい」人物として描かれている。彼はあるとき、最愛の母であるシミ・ウォーカーを亡くしてしまう。
彼はフォースの力により母の死を予感していた。だが、「あと一歩」のところで間に合わず、母は彼の腕のなかに抱かれながら息を引きとる。
松本さんの見解では、この母を死の危機から救えなかったという体験は、アナキンにとって「自分に力がなかったために愛する者を救えなかった」という自分を否定する記憶情報になったという。
そんなとき、彼は妻パドメの死を、夢によって予知する。
この夢が原因となり、前述の記憶情報と相まって、「母の時のように、愛する者を絶対失うような力不足の自分ではいけない」という強く自分を責める思いが湧き上がった。
これらの思い込みは、アナキンの中に「何をしてでも、守る力を手に入れなければならない」という暗黒面への誘惑を創り出した。そして「シスの暗黒卿」になれば、人を死の淵からよみがえらせる力を手に入れられると考えたアナキンは、ダークサイドに身を堕としてしまう。
松本さんは、アナキンが愛情深い人物だった結果、ダース・ベイダーになってしまったと解釈しているのだ。
愛や誰かを大切に思う気持ちが判断と思考を狂わせる。自分の身の回りの人間関係について思いを馳せたくなるようなエピソードではないか。
また、松本さんは『スター・ウォーズ』のもうひとりの主人公、ルーク・スカイウォーカーについても考察している。ルークはアナキンの息子であり、父と同じく後にジェダイの騎士として活躍するようになるが、最後まで暗黒面に堕ちることはなかった。
アナキンの血を引き継ぎながらも、アナキンとは異なる選択をしたルーク。アナキンとルークの生き方を対比し、「ルークはなぜ暗黒面に堕ちなかったのか」の分析を通して、その理由とコインの裏表の関係にある「アナキンはなぜ暗黒面に堕してまったのか」の理由がより一層鮮明に浮かび上がってくる。
またそこからは、「愛とは?」というテーマにとどまらず、「家族とは?」「運命とは?」といった問いに対する示唆さえも受け取ることができる。
本書ではアナキンとルークはもちろん、オビ=ワン・ケノービやヨーダ、クワイ=ガン・ジンなど、ファンにとってはお馴染みのキャラクターたちの「名言」も引用し、この作品が描く「真理」に迫ろうとしている意欲作だ。
『スター・ウォーズ』最新作を観て興奮冷めやらぬ人だけでなく、これまで『スター・ウォーズ』シリーズに興味を持ちつつも深く入っていけなかったという人にとっても、この作品の魅力に気づけることはもちろん、生きる上で大切なことを考える機会になるだろう。
(新刊JP編集部)
※シリーズ中に登場する、架空のエネルギー体。ジェダイの騎士たちが用いる超常能力の源となっている。