ロウソクが出火原因になったのか?(画像はイメージ)

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茨城県那珂市の住宅が全焼した火災で、新聞各紙が「電気を止められて、ロウソクを使っていた」と、この家の住人が警察に話していると伝えた。報道では、警察がこのロウソクと出火原因の関連を調べているとしている。

この家の電気が止められた理由は分かっていないが、ネットでは「生活困窮の悲劇」「貧困家庭が原因」との受け止め方も出ている。生活保護の受給や料金支払いを猶予するなど、行政や電力会社が対応することで、悲劇は防げなかったのだろうか。

支払い期限を猶予することも

2015年10月27日に起きたこの火災では、平屋住宅と2階建て物置が全焼。焼け跡から3人の遺体が見つかった。

警察によると29日現在、火元は特定できていない。ただ、助かった長女が「電気を止められて、ロウソクを使っていた」と話したため、警察はこのロウソクが火元になった可能性を調べていると新聞各紙が報じている。

報道を受け、ネットでは「貧困がまねいた事態」との指摘も出て、「貧困家庭の電気を止めるな」「この家族は生活保護制度を知らなかったのか」といった意見が書き込まれた。行政や電力会社が何らかの対応を取ることはできなかったのだろうか。

東京電力によると、一般的に電気料金の支払日から20日たっても、支払いが確認できないと電気を止める場合がある。ただ、止める5日前までに戸別訪問や電話などで通知は行う。生活が苦しいと申告があった場合は、支払い期限を猶予することもあるという。

いずれにせよ、支払いが滞ったからといってすぐに電気が止められる訳ではない。

では行政側が貧困に気づいて、生活保護を受けさせることはできなかったのか。

那珂市の調べでは、この世帯がいままで生活保護を受給していた記録は確認されなかった。また、相談や申請すらなかったという。

受給は本人からの申請が原則だが、第3者が介入することもできる。たとえば民生委員や近所の人、自治会などから報告があれば市の職員が個別訪問し、様子を見に行く場合もある。しかしこの世帯については、そうした報告は上がっていなかったという。

行政や電力会社も生活困窮者への対応をしていない訳ではない。しかし、直接のSOSがない限り、すばやい対応を取ることは難しいのが現状だ。