5年間のTrueView動画広告から16事例を厳選。世界中の人々に支持された理由とは?

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動画広告の大きな可能性を示した8作

まずは、2010年から2013年にかけて公開されたTrueView動画広告を振り返ってみます。Old Spice(オールドスパイス)、Orabrush(オラブラッシュ)、Pepsi(ペプシ)についてはその高い動画広告の効果を過去にもご紹介してきました。

2010年〜2013年

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Old Spice

Tipp-Ex

Volkswagen

Orabrush

Dollar Shave Club

Pepsi

Red Bull

Pepsi

今回は、革新的なインタラクティブ性で大きな話題を集めたフランスの文具メーカー「BIC(ビック)」の動画広告、そして限られた予算で多くの顧客獲得に成功したスタートアップ企業「Dollar Shave Club(ダラーシェイブクラブ)」の動画広告に注目します。

インタラクティブ性で”イノベーション”を起こした動画広告

2010年に公開され、その斬新なアイデアから世界中にバイラル現象を巻き起こした修正テープ「Tipp-Ex」のプロモーション動画。ユーザーが参加できるインタラクティブな仕組みを上手く構築し、多くの視聴者の心を掴みました。

本動画広告では、動画タイトルの一部を視聴者が入力することができ、入力した単語に応じてストーリーが変化します。パターンは全部で42通りも用意されおり、どれも遊び心満載の動画になっているところも視聴者の心をつかんだポイントと言えるでしょう。平均滞在時間が6分と、平均の3倍だったことからも、いかに視聴者が積極的に動画を視聴していたかが分かります。

この動画は公開後5日間で200を超える国で視聴され、再生数は400万回を突破。テレビを始め多くのメディアでは「YouTubeの将来性を示した”イノベーション”」と紹介され、大変話題になりました。
最終的には再生数は2200万回を越え、Facebookでのシェア数は100万回、ツイート数も20万を超える程に。さらにヨーロッパでの売上が前年比35%増を記録するなど、バイラル現象を起こしただけでなく、業績のアップにも貢献した見事な動画広告でした。

スタートアップ企業の救世主となった動画広告

続いてご紹介するのは、カミソリ刃の定期購入するサービス「Dollar Shave Club」の動画広告です。当時、スタートアップ企業だった同社はCEO自らが登場し「毎月1ドル+送料でカミソリをお届け」というサービスの魅力を訴求しています。

 

当時カミソリの替刃市場は98%が大手企業によって占められており、カミソリ刃=高価というのが一般的だったようです。これを逆手にとり、大手の高価格帯を皮肉ったりと、コメディ的な要素を盛り込みつつも、サービスの特徴や既存サービスの問題点をしっかりと訴求。派手な演出はないものの、視聴者に響く巧みな話術と動画構成で多くの視聴者に支持されました。

結果、制作費はわずか5000ドル未満だったにも関わらず、動画公開後2日で1万2000件の注文を獲得。1週間後には会員数2万5000人、売上180万ドルを達成しました。テレビCMを出稿するほどの予算がないベンチャー企業でも、動画広告を活用することでが大きな効果を得られる可能性が見えた事例でした。

業種や切り口が多様化。斬新なアイデアが光る8選

次に2013~2015年に公開された動画広告をご紹介します。前述の8つの動画と比較すると、ブランディングを目的に配信された動画広告が目立ちます。それも動画を試聴すること自体を楽しいと感じてもらえるようなコンテンツ――いわゆるブランデッドコンテンツが増えていることが見て取れます。

Dove(ダヴ)、Volvo(ヴォルヴォ)、WREN(レン)、ALWAYS(オルウェイズ)の動画広告は過去記事でも取り上げましたので是非チェックしてみてください。

2013年〜2015年

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Dove

Volvo

WREN

CATERPILLAR

ALWAYS

CLASH OF CLANS

GEICO

AD COUNCIL

本記事では重機メーカー「Caterpillar(キャタピラー)」のブランディング動画とアメリカの自動車保険会社「GEICO(ギーコ)」のプロモーション動画を取り上げます。

BtoB企業の堅いイメージを覆した動画広告

優れたアイデアで再生数270万回を突破したのが、2014年に公開された重機メーカーCaterpillar社の動画広告です。同社は「保守的な企業イメージ」を変えたいと思い、本動画を制作したそうです。

本動画を一言で説明すると「重機による巨大ジェンガ対決」。272kgの木材ブロックでできた「ジェンガ」を掘削機やフォークリフトなどの重機でプレイするという内容です。「重機」というあまり馴染みがない製品ですが、多くの人が子ども時代に遊んだことがあるジェンガを取り入れることで、視聴者が純粋に楽しめる動画に仕上がっています。

 

公開後すぐに話題になり、数日で再生数は100万回を突破。視聴者からは「この動画を見てショベルカーを購入してしまった!」「これこそがマーケティングだ」などポジティブな意見が多く寄せられました。

「保守的・地味」といったイメージを壊すと同時に、軽快な操作で機能性の高さも巧みにアピールした本動画。BtoB企業でも動画広告が有効であることを示した好事例と言えるでしょう。

プレロール動画広告の特性を活かした秀逸な動画広告

TrueViewプレロール動画広告は5秒経過すると視聴者が自由にスキップできる仕様です。この5秒間でいかに視聴者の心を掴み、視聴を継続してもらうかがクリエイティブのカギとなります。アメリカの自動車保険会社GEICOは、この5秒間を巧みに利用した「スキップできない動画広告」を展開し、話題を集めました。

 

「スキップできない」理由は、5秒間でメインの広告部分が終了してしまうため。しかし終わったはずの動画広告は実は続いており、出演陣は皆、止まったフリをしています。

そこに犬が登場し、食卓をひたすら荒らします。しかしフリーズした出演者たちは笑うこともできず、とにかく耐えるしかありません。この単純ながらもシュールな演出に「思わず見てしまう」という声が多く寄せられ、話題沸騰。最終的には700万回以上も再生される結果となりました。

誰にでもチャンスがあるTrueView動画広告

以上のように、わずか5年の間に、TrueView動画広告という枠組みの中で新しい表現手法が次々と生み出され、いくつもの動画広告が大きな成功を収めてきました。今後も、360度動画やアノテーションに代わるカード機能などのYouTubeの新しい機能を取り入れた、斬新なTrueView動画広告が世界を賑わせてくれることでしょう。

誰でも出稿できるTrueView動画広告は、企業の規模や業界に関係なく、成功の可能性を秘めています。過去の事例からアイデアを広げ、新しいバイラル動画広告を目指してみてはいかがでしょうか。

[参考]

Ads Worth Choosing: Reflecting on the Past 5 Years - Think with Google
https://www.thinkwithgoogle.com/articles/iconic-ads-moments-youtube.html

BIC: http://www.bicworld.com/en/press/press-detail/130/the-tipp-ex-interactive-campaign-viewed-more-than-4-million-

Dollar Shave Club :http://www.funnelbox.com/funnelblog/story/dollar-shave-club-video-case-study

caterpillar:http://adage.com/article/btob/caterpillar-scores-viral-hit-large-scale-jenga-game/292723/

GEICO:http://www.adweek.com/news/advertising-branding/ad-day-geico-makes-clever-pre-roll-ads-are-basically-unskippable-163233