10日、法人税率引き下げについて言及した日本経団連の御手洗会長。(撮影:徳永裕介)

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日本経団連の御手洗冨士夫会長は10日の定例記者会見で、法人税率について「高いと思う。経済成長を促すような税制にしてほしい」と述べ、引き下げが望ましいとの考えを示した。

 政府が7日決定した経済財政運営の基本方針「骨太の方針2006」では、社会保障費の安定財源として消費税の「目的税化」を検討する考えを示したが、焦点だった税制の見直しは先送りし、議論を「ポスト小泉」に委ねた。

 御手洗会長は、法人税率について「アメリカと同じくらいになったが、近隣諸国やヨーロッパは法人税を下げて、国際競争力をつけようとしている」と指摘。「経済成長力が維持され、成長過程のある社会でないと再挑戦のチャンスや、きちんとしたセーフティーネットを確立することは難しい」と述べ、経団連として引き下げを要望していく考えを示した。

 一方、消費税の目的税化に関しては、御手洗会長は「国民にわかりやすいし、透明性が高いという意味で賛成」と語った。

 1988年には42%だった日本の法人税率は、財界の要望により1990年代を通じて引き下げられ、99年以降は30%になっている。【了】