7日、講演で「今後10年は支援が必要」と話すアフガニスタンのハミード・カルザイ大統領(撮影:吉川忠行)

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アフガニスタンのハミード・カルザイ大統領は7日、東京都渋谷区のUNハウス(国連大学ビル)で講演し、同国が国際社会の支援なしで自立した生活を送ることを目指しながらも、今後10年は支援が必要との認識を示した。大統領は民族衣装と帽子をかぶって演台に立った。

 カルザイ大統領は、旧ソ連から解放された直後の1990年代を振り返り、「ソ連が出て行った後、国際社会がほとんど完璧にアフガニスタンのことを忘れた結果、宗派の抗争が起こり、タリバンやアルカイダを呼んだ。長い疲弊で自らを解放する力を失っていたが、9・11(2001年の米同時多発テロ)でようやく世界が気づき、支援の手を差し伸べてくれた」と話した。また、03年ごろから再びテロが増えていることに言及し、「もう一度注目してほしい」と訴えた。

 米国の対アフガニスタン軍事作戦の後、同国は国家再建を進めており、外国に避難していた450万人が帰還したほか、医療を受けられる国民の割合が9・11時点の1割から現在では7割にまで上がるなど、状況は次第に良くなっているという。しかし、カルザイ大統領は「今後10年は支援が必要になる」と語り、政府機能の強化や、不十分な法体系整備の必要性を強調した。治安維持に必要な警察官が、人口2000人あたり1人しかいないところもあるという。

 いまだに続くテロの脅威については、「おそらく海外のテロリストによるものだ。支援を受けて作ってもらった道路や学校を、アフガニスタン人が破壊するはずがない。我々は国際的な支援に感謝している」と述べた。

 講演の終わりに、カルザイ大統領は「アフガニスタンは、みなさんが旅行者として訪れることができる国になる。国際社会の一員として、人権を尊重した民主国家を作りたい」と将来への希望を述べた。【了】

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