「若きアフガニスタンの記録」展では、1930年代にアフガニスタンにいた故尾崎三雄さんのフィールドノートや写真などが展示されている(撮影:佐谷恭)

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1930年代のアフガニスタン関係資料と写真を集めた展示会「若きアフガニスタンの記録」(日本貿易振興機構=ジェトロ=アジア経済研究所)が5日、東京都港区のジェトロ・ビジネスライブラリーで始まった。8月1日まで。

 展示されているのは、アフガニスタンに長期滞在し、農業技術指導をした故尾崎三雄さん(1902―85)が遺した資料で、指導を記録したフィールドノートや尾崎さんが撮影した写真のほか、当時の新聞や教科書など。アジア経済研究所所蔵の約600冊のアフガニスタン関係図書の閲覧もできる。

 尾崎さんはアフガニスタン政府の要請で、同国に農林省の技師として、1935年から3年間派遣された。害虫駆除を主とした農業指導を行いながら、当時ほとんど知られることのなかった同国の一般事情に関して情報収集を行った。当時のカブール(アフガニスタンの首都)には、柔道家や7−8人の同僚の技師を含め、20人ほどの日本人が滞在していたという。

 アジア経済研究所の鈴木均副主任研究員によると、尾崎さんが滞在した頃のアフガニスタンは、「国際的な紛争を経験していたものの、治安は安定しており、テロが頻発する現在と比べ随分牧歌的だった」とのこと。交通事情が不便で、船と列車で日本を出発してから現地に到着するまでに約1カ月かかり、残された記録から、生活上とても苦労した様子がうかがえるという。

 その後のアフガニスタンは、隣国パキスタンとの紛争が絶えず、旧ソ連軍の侵攻、イスラム原理主義勢力タリバンの政権取得など、大国の利益追求の結果として翻弄されてきた。米国のアフガニスタンでの軍事作戦後、カルザイ氏が大統領に就任し、現在、各国の支援で国家再建中。日本政府も復興に積極支援を表明しており、非合法武装集団の解体などについて協議する「東京会議」開催のため、カルザイ大統領を4日から7日まで招いている。

 入場無料。土日祝日・第3火曜日(18日)は休館。開場時間は、午前9時から午後5時まで。関連行事として、尾崎三雄さんのアフガニスタンでの活動と日本の対イスラム政策についての講演が、18日午後2時から開かれる。講演会は申し込みが必要。問い合わせは、アジア経済研究所図書館資料サービス課(電話:043-299-9716)まで。【了】

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