科学技術の発展により、アーガスIIBio-Retinaのような人間の網膜に医療機器を埋め込む驚くべき技術が登場しています。こういった最新の医療技術を駆使し、失明した男性に結婚10年目にして「初めて」自身の妻の顔を見る機会をミネソタ州のメイヨー・クリニックがプレゼントしました。

Blind man sees wife for first time in 10 years - video | US news | The Guardian

http://www.theguardian.com/us-news/video/2015/feb/24/blind-man-sees-wife-10-years-allen-zderad-video

結婚10年目にして初めて自身の妻の顔を見ることができたのは、ミネソタ州に住む盲目の男性、アレン・ズデラートさん。現在68歳で、10年前にアンジェラさんと結婚しました。アレンさんが視力を失ったのは約20年前で、変性眼疾患と診断され失明してしまったそうです。そんなアレンさんが妻の顔を見られるようになったのは、ミネソタ州のメイヨー・クリニックがSecond Sight製の人工網膜デバイスのプロトタイプをプレゼントしたから。

アレンさんが自身の妻であるアンジェラさんを初めて見る際の様子は、以下のムービーで見られます。

白い大きな板の前に立つ青色のシャツを着た男性がアレンさん。頭につけているのはサングラスではなく、視覚をサポートするためのデバイスです。



黒色の服を着ているのが妻のアンジェラさん。彼女が白い大きな板の前に姿を現すと……



アレンさんとアンジェラさんは一緒に笑い始めました。



そしてメイヨー・クリニックの医師とガッチリ握手。



続いて10年目にして初めて顔を見た自身の妻と熱い抱擁を交わします。



別の場所でもガッツリ抱擁。



初めて顔を見られた喜びはとにかく言葉にならないようで、2人でひたすら泣き笑いを続けています。



2人の後ろにいる親族らしき人々もとにかく喜んでおり、周囲の人にとってもいかに大きな出来事であったかがうかがい知れます。



身振り手振りで自分の目にはどんな風にアンジェラさんが見えているのかを表現するアレンさん。



人の輪郭はしっかり見えるようで、とくに白い板の前に立つときれいに姿形が見えるようになるようです。



視覚が戻るといっても、失明前の鮮明な世界が見られるというわけではないようで、実際にアレンさんが見ている風景はこんな感じ。



画像に写っている人影のようなものがアレンさんが見ているアンジェラさんの顔。確かにはっきりと「どんな目鼻立ちをしているのか」までは分かりませんが、人の形をしていることははっきり分かります。何も見えなかった人にもある程度の視覚を戻すことができるというのは、盲目の人にとっては計り知れない希望の光となりそう。



とにかく終始興奮気味のアレンさんは、視覚が戻った奇跡的な状況を何と表現していいのか分からず、言葉に詰まる場面も多々ありました。



アレンさんが装着しているのはSecond Sight製の人工網膜デバイス。これが現在ヨーロッパやアメリカで利用可能な人工網膜デバイス「アーガスII」なのか、その他の新しいプロトタイプデバイスなのかは不明ですが、「アーガスII」がどのような仕組みで動作して失明した人の視覚をサポートするのかは以下の記事を読めば理解できます。

失明や視力が極端に落ちた人の視覚をサポートする人工網膜デバイス「アーガスII(Argus II)」をアメリカ食品医薬品局が認可 - GIGAZINE