ヤンキース・田中将大【写真:田口有史】

「健康を維持できるよう気をつけてスケジュールを組み立てるつもりだ」

 ヤンキースのラリー・ロスチャイルド投手コーチが17日(日本時間18日)にフロリダ州タンパのマイナー施設で始動した田中将大投手の調整に細心の注意を払う方針を示している。MLB公式サイトが報じている。

 田中は昨年7月に右肘靭帯部分断裂と診断され、保存療法を選択。2か月半のリハビリを経て復帰し、終盤の2試合に先発した。一時帰省した日本ではチームに与えられたメニューをこなし、この日は21日のバッテリー陣の始動に先駆けて、遠投などキャッチボールなどを行った。

 約30分間のトレーニングを見守ったというロスチャイルド投手コーチはエースの調整について、「注意しなければいけない。我々は彼が健康を維持できるよう気をつけてスケジュールを組み立てるつもりだ。今のところ、全て順調だ。いきなりメニューを前倒しにするようなことはない。彼が順調であり続けるように我々は全力を尽くすつもりだ」と語ったという。

 ブライアン・キャッシュマンGMは田中の肘について、いずれかの時期に肘の靭帯再建手術(トミー・ジョン手術)が必要となる可能性を示唆している。その場合は復帰まで1年から1年半を要するため、首脳陣はヤンキースの浮沈を左右するエースの肘の状態を注視しているようだ。

「タナカの靭帯はジーターの去った後のヤンキースの命運を左右するだろう」

 ESPNも「ヤンキースのスプリングトレーニングの最大のクエスチョン・マーク。マサヒロ・タナカの右肘だ」と特集。

 記事では「タナカの靭帯はデレク・ジーターの去った後のブロンクス・ボンバーズ(ヤンキースの愛称)の命運を左右するだろう。もしも、靭帯がつながり続けて、昨年の前半戦のようなピッチングで田中がサイ・ヤング投手候補になれるなら、彼は違いを生み出す存在となりうる。もしも、靭帯が切れてしまったら、ヤンキースのプレーオフ進出の望みも、チームの未来もボロボロになるだろう」と伝えており、例年と比べ目立った補強のなかったヤンキースは田中への依存度が高いと分析している。

 その右腕に関し、ロスチャイルド投手コーチは「我々は彼の調整を急がせるつもりはない。彼の状態を見てみたい。彼が日本でどんなトレーニングをしてきたか知っている。彼がどこまでの強度で投げているのか見てみたい。そこから始めるつもりだ」とコメントしている。

 メジャー2年目にして、ピンストライプの名門で不可欠の存在となった田中。故障再発という最悪なシナリオを回避するために、チームはスプリングキャンプから細心の注意を払うことになる。