バルサ久保建英くんの去就は? 規定違反で未だ公式戦に出場できず

写真拡大

 現地19日、バルセロナの地元スポーツ紙『スポルト』で1本の小さなニュースが配信された。

「ボビー・アデカニェ、PSVへレンタル移籍」

 ボビー・アデカニェが誰だか知っているファンがいれば、相当のバルセロナ好きかと思われるが、彼こそが、今年4月にFIFAがバルセロナに対する補強禁止処分を発表する原因となった選手の1人である。

 同処分は、バルセロナが国際移籍で原則禁止されている18歳未満の外国人選手を獲得していたことが理由で下されたもの。現在15歳のアデカニェは、ナイジェリア生まれのオランダ人で、12歳の時にアヤックスからバルセロナへの入団を果たした。だが、これは上記のルールに違反するため、上記の処分発表を機にFIFAから公式戦への出場を禁じられていた。そこで母国へのレンタル移籍によって出場機会を確保しようというのが、今回のレンタル移籍の真意だ。

 そうなると、我々日本人にとって気になるのが、久保建英くんの動向だろう。ルール違反の対象者はアデカニェを含めて10名以上いるとされ、バルセロナの下部組織に在籍中の久保くんも、その1人だったことは広く知られているところである。

 10歳の時にバルセロナと契約した久保くんは、現在13歳。アデカニェ同様、処分発表後は公式戦に出場しておらず、処分の撤回やルールの見直しがない限りは、18歳まで公式戦に出場できないことになっている。であるならば、アデカニェのように、例えば日本のクラブにレンタル移籍させるという選択肢も十分に考えられる。

 もっとも、アデカニェの場合は「16歳以上18歳未満でEU内、EEA(欧州経済領域)内での移籍であるケース」という国際移籍ルールの特例に該当するため、16歳になった時点でバルセロナでの公式戦出場が認められる。言わば、“タイムラグ”は1年ほど。それに対して、日本人の久保くんが再び青とエンジのユニフォームを着て公式戦にピッチに立てるのは、単純に考えて5年後になる。

“出場機会”という点では日本復帰のメリットはあるかもしれない。しかし、練習や親善試合には参加できるため、“バルサ・メソッド”を学ぶという点においては現地に留まった方が良いという見方もできる。また何より、「バルセロナでプレーする」という夢を叶えた1人の少年の気持ちを考えれば、日本復帰をおいそれと勧めることはできない。

 ちなみに、同じアジア人で、今回のルール違反に該当する選手には、韓国人のイ・スンウ(16歳)がいる。9月に行われたAFC U−16選手権タイ2014の準々決勝で日本相手に2ゴールを奪った韓国人FWは、すでにバルセロナと20歳までの契約を結び、18歳の誕生日を迎えるまでバルセロナで過ごすという。

 ただ彼の場合も、あと1年そこそこ待てばいいということと、将来を約束されているが故の“バルサ残留”という選択だ。

 久保くんの今後にとってベストなのは、スポーツ仲裁裁判所(CAS)から“シロ”の判決を貰い、再び、正々堂々とバルセロナの選手としてプレーすることだ。ただし、それがいつになるのかは現時点では分からない。いずれにせよ、決断を下すべき時はやってくるだろう。ただ今は、その決断が久保くんに明るい未来をもたらすことを、望むばかりである。

(記事/Footmedia)