政界、官界に取材をかけてみたところ、次期衆議院選挙後の政界再編で「石原総理」が誕生する可能性も大アリだとか

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10月28日に行なわれた衆議院鹿児島3区の補欠選挙で、自民党の推す候補者が当選した。政権与党の民主党が推薦した候補が敗れるという結果に、野田政権の末期を見る人は多い。しかし、永田町の国会議員たちの受け取り方は違っている。自民党の元大物議員が語る。

「自民党が推す候補者は約7万票を獲得した。それに対して民主党が推薦した国民新党の新人候補は約6万5000票。意外に差がないだろう? これには永田町全体がザワついたよ。安倍総裁と石破幹事長の新体制は発足直後。おそらく自民党にとって最も高い支持率だと思われるタイミングで行なわれた選挙で、支持率が最低な民主党推薦の新人候補に肉薄された。民主党の人気は回復していないんだから、安倍君と石破君の人気が実は大したことないってことが証明されちゃったんだよ」

この結果から、彼は「次の総選挙では自民党は意外と大勝ちできないと思う」と予想する。そこで浮上するのが、日本維新の会や石原新党などが結成を目指す「第三極連合」だ。

「時間がたてばたつほど、自民党の支持率は少しずつ下がり続ける。民主党の支持率は絶対に上がらないから、第三極連合の総数が自民党を上回る可能性はあるよ。もし第三極連合が僅差で勝てば、石原慎太郎総理の誕生だろう。そのまた次の総理は橋下君という流れになるかもな」

では、もし石原総理誕生となれば、いったい日本はどう変わるのか? 教育改革や尖閣諸島の都有化へ向けた動きなどで石原氏と行動を共にしてきた、東京都議会議員の野田数(かずさ)氏が展望する。

「まず、尖閣諸島にさまざまな建造物を造り、実効支配を強化しますね。さらに、約2年前、中国からレアアースの輸出制限を“対日圧力カード”として使われたので、その弱みを解消するためにも南鳥島近海に眠るレアアースの採取を本格始動するでしょう。それから、日本を自らおとしめるような情けない“戦後体制”をガラリと変えると思います」

野田氏が例として挙げるのが、河野談話(従軍慰安婦の強制性を認め謝意を含んだ声明)や村山談話(植民地支配と侵略行為によって主にアジア諸国に対して損害と苦痛を与えたのは事実だとする声明)の破棄だ。

「そして教育改革を徹底して行ない、日本人が日本人であることに誇りを持って暮らせるような国づくりをすると思います」(野田氏)

ほかにも、石原氏の過去の言動から推測すると、米軍横田基地の返還要求やスパイ防止法の制定、純国産戦闘機の開発なども行なう可能性が高い。中国、韓国、北朝鮮のみならず、アメリカまでもイヤがりそうな政策ばかりだ。こんなに四方八方を敵にして本当に大丈夫なのか? 外務省のキャリア官僚、S氏が分析してくれた。

「アメリカはイヤなテーマでも交渉のテーブルにはつく国です。彼らは過去に沖縄や小笠原諸島をきっちり返還したのだから、中国や韓国やロシアとは根本から違う。石原さんが強い覚悟を持って臨めば難しい交渉を成功させることも可能だし、それによって日米関係が悪化することもないと思います。石原さんはハッキリと意思を表示するので、一時的にモメても、最終的には関係が良化するかもしれません。鳩山さんや野田さんのような、何を考えているのかわからないような謎の人物のほうがアメリカからは嫌われるのです」

しかし、韓国は石原総理の誕生をイヤがることだろう。S氏が続ける。

「韓国にとっては悪夢でしょうね。対日関係が悪化して経済的に困るのは韓国側。日本にとってはそんなに大きな痛手じゃありません。でも韓国の国民感情は韓国政府が日本に折れることを許さないので、強硬姿勢を貫くしか選択肢がなくなり、自分で自分の首を絞めるジレンマに陥ると思います」

石原総理が誕生すれば、よくも悪くも日本の外交政策が大きな変革を迫られることは間違いない。

(取材・文/菅沼 慶)