ＤeＮＡ１１─５阪神

鶴岡と高城の併用に続き、筒香の外野起用を見直すなど守備の重要性を口にしたキヨシだが、この程度の学習速度で最下位を抜け出せるほどプロ野球は甘くはない。
しかし完全に戦うモチベーションを失った感のある阪神ナインの表情を見ると、低いレベルながらも熾烈な最下位争いが繰り広げられそうな気配がするのも事実である。

「バスターエンドランではなかった」
二回表、スタンリッジがバスターを空振りし、スタートを切った新井が三塁でタッチアウトという不可解な作戦は、どうやら単なるバスターで、二塁走者の新井が飛び出した勢いで走りきってしまったというのが真相のようである。
普通に打っても一割も打率がないスタンリッジにバスターという高度な作戦を要求するあたり、現役時代この手の作戦を苦もなくこなした和田監督らしい。

凋落する阪神のおかげで辛うじて最下位争いができそうになってきたベイだが、「この最下位はセ・リーグの一番下というだけではなく、あのベイスターズよりも弱いことを意味する」ということに阪神ナインが気づいた時、優勝争いからこぼれ落ちた放心状態から目覚めて本気を出す可能性は否定できず、ベイスターズ自身が力をつけなければ５位の座はつかみ取れないだろう。
戦力アップの可能性を感じさせたのが後藤の鋭い振り。
際どい球を見極めつつツボに来た球をブンッと振る今の状態は、相手投手にとってかなり脅威になっているのではないか。六大学の三冠王で二年連続の首位打者というタイトルから、体調万全ならタイトル争いをしてもおかしくないくらいの素質を秘めているのは明らか。
プロ入り七年で一年を通して働けたのは初年度だけのため、基礎戦力として期待するのは無理としても、５０試合くらいなら手がつけられないほどの打撃を披露する可能性は充分あり、ノリ、ラミ、筒香、後藤という四枚の長距離砲が揃った状態が長く続けば五年ぶりの最下位脱出も現実味が出てくるだろう。
打順はあえて右が三枚そろうことを覚悟で五番に後藤を据えるほうがいい。
コツコツと力をつけていくタイプの筒香の性格から、いたずらに負荷を掛けるキヨシ的なやり方よりも、守備の負担が軽い一塁で六番を打たせて成長を促し、調子のいい時には無敵になる後藤にクリンナップを任せたほうが機能するはず。

ＤeＮＡ４─４阪神

ノリさんが肘の違和感で欠場したと思ったら、絶好調の後藤までが途中欠場するという、踏んだり蹴ったりのキヨシベイ。
帽子の後ろには『盛りの短さ』を象徴するように蝉までがとまる始末で、強打者揃い踏みでいよいよ巻き返しに出るかと思った矢先の相次ぐ離脱劇だった。
３点のビハインドを見事にひっくり返しながら、二死から絵に描いたような同点の一発を喰らうあたり高崎らしい投球で、自ら勝ちを手放してしまう詰めの甘さ。
直接対決でひっくり返すことができる２.５ゲーム差には迫っておきたかったところだが、離されなかっただけでもマシといえるだろうか。