Aさんがクライアントの外国人を爆発的に怒らせてしまったことがありました。

クライアントの支払いが遅れていて、Aさんはメールで「早く支払ってください」と英語で送ったんです。

それを見たクライアントは大激怒。

でも、Aさんにはなぜそんなに怒っているのか分からないんです。

わたしは、文面を見せてもらって「なるほど」と思いました。

「I demand you pay by Friday.」と書いてあったんです。

「demand」とは強い要求の言葉なんです。

「支払え!」と聞こえたんですね。

本当なら、「request」や「ask」を使うべきでした。

しかも、メールだったというのが悪かったですね。

対面で顔を合わせていたら、相手もAさんの表情や英会話の習熟度から推し量って、「間違えたな」と思ってもらえたと思います。

この失敗は、「demand」を使うときの感情を知らずに使ったから、つまり、気持ちから切り離された単語として覚えていたからこういう間違いになってしまったのです。

でも、私は失敗してもいいと思っています。

だって、この失敗された方は絶対に「demand」の使い方を忘れないでしょう。

最近は、英文で書かれたメールをたくさん読まなければいけないという方も増えていると思います。

その場合は、どんな使い方を送ってきた方がしているのかを学ぶんです。

例えば、届いたメールの一文を、エクセルでデータベース化しておくのもいいですよね。

ある程度データがたまってきたら、送る前にデータベースをチェックして、そこにない文章や単語を発見したら、送信する前にもう一度見直した方がよいですね。

――英語を勉強している人へ、メッセージをお願いします。

英語を使って会話するなかで、ミスして、それを指摘されたり、笑われたりして自然と覚えていくというのが、英語を覚える一番の近道だと思います。

だから、失敗することを恐れないで欲しいんです。

「自信がないから話せない」なんて言っていたら、一生英語を話すことはできません。

なぜなら、10年やっても20年やっても自信がつくということはないんですから。

自信をつけるのはあきらめましょう! 私も、日本語を勉強して30年たちますが、一度も自信をもったことなんてありません。

「自信がついたら話す」ではなくて、自信がなくても話せばいいんです。

「英語を話せるようになったら海外に行きたい」ではなく、行けばいいんです。

これを読んでくれた皆さんには、自信のなさが、英語を覚えるのを妨げる壁にならないようにしてほしいです。

●お話を伺った人デイビッド・セイン先生米国生まれ。

カリフォルニア州アズサパシフィック大学で社会学修士号取得。

証券会社勤務を経て来日し、翻訳・通訳など多岐にわたって活躍。

豊富な教授経験を生かし、数多くの英語関係書籍を執筆。

日英翻訳した作品には、世界的ベストセラーの翻訳などもある。

英会話本の執筆をしながら、東京・文京区にあるエートゥーゼット英語学校の校長も務める。

●著書『爆笑! 英語コミックエッセイ 日本人のちょっとヘンな英語』アスコム『mini版 感動する英語!元気がでる英語!』アスコム『ネイティブに伝わるビジネス英語の書き方』アスコムなど多数