初めて見たり体験したりする物事は、いくつになっても人の興味をかき立てるもの。中国では先日、初めて水洗便所を利用した老人が2か月で98トンもの水を浪費してしまい、家族たちを驚かせるという出来事があった。

中国紙半島晨報などによると、この一件は遼寧省大連市のある家でのこと。68歳の女性・宋さんは昨年から、実家のある農村を出て大連市内の息子の家に遊びに来ていた。「都会暮らしは田舎に比べて生活が便利」ということもあり、息子は母親をすぐに田舎に帰そうとはせず、しばらく同居生活を送っていたという。

そんな生活に“異変”に気が付いたのは今年3月に入ってから。息子が仕事を終えて帰宅すると、玄関の扉の前に1枚の紙切れが貼られていた。それは水道会社がよこしたここ2か月の水使用量に関する伝票だったのだが、そこにはなんと98トンもの水を使用したと記されていたのだ。

息子は、今までこれほど多くの水を使用したことなど一度もない。「きっと何かの間違いだろう」と思い、すぐに水道会社に電話をかけ、もう一度きちんと確認するよう伝えた。しかし、水道会社の社員が再度確認したところ「使用量に間違いはない」とのこと。納得がいかない息子は、今度は「水漏れ」を疑い始めたそうだ。

しかし、不動産会社に調査してもらったところ、その疑いもないという。結局「いったいどうして98トンもの水を使用したのだろう」と、途方に暮れてしまった。

そんなある日、息子が家でくつろいでいたときのことだ。母親が便所に入ったかと思いきや、その数分後に再び便所に入る姿を目撃する。何をしているのかと思い、母親に確認したところ、「“流すボタン”を押してきた」との返事(※中国の水洗トイレはレバーではなく、ボタン式が多い)。詳しく話を聞いてみると、彼女は息子の家で初めて水洗便所を利用して以来、水洗便所に不思議な感覚を覚えたそうで、家で退屈なときは水洗便所の“流すボタン”を押して遊んでいるとのことだった。

この言葉で息子は事情を察したが、母親を傷付けないよう「トイレのボタンをたくさん押すと壊れてしまうよ。便器は簡単に壊れやすいんだ」と、やめるよう説得。以来、母親はあまりボタンを押さなくなったという。

なお、彼女が住む田舎では井戸水を利用しており、水洗便所の水も井戸水同様に無料だと思っていたことが、“流すボタン押しまくり”を助長させていたようだ。